(写真=AP/アフロ)

 日銀が1月29日に導入したマイナス金利は、収益圧迫懸念増大から銀行株の急落に結び付いたほか、消費者のマインドを「守り」に追いやるなど、負の側面がクローズアップされている。この政策は少なくとも初期段階では失敗に終わったとみる向きが、市場では多い。

 日本(さらには米国や欧州)の長期金利のレンジを押し下げるという点においては確かに、日銀のマイナス金利は大きな効果を発揮している。日本の債券市場では3月下旬、40年債を含むすべての年限の国債の利回りが0.5%を下回る日が複数あった。

 だが、そのことが住宅投資や設備投資の「起爆剤」になるとは、到底考えられない。もともときわめて低い水準となっていた長期金利が追加的に低下することによる刺激効果は、ごく限られたものにとどまる可能性が高い。

 住宅市場では分譲マンションを中心に、庶民の手が届かないところまで高くなってしまった物件価格という強い逆風が吹いており、これはローンの月々の支払額の軽減とはグレードの違う話である。また、設備投資では、人口減・少子高齢化の進行による国内消費市場の長期的な縮小見通しに変わりがない以上、企業が国内で設備投資を本格展開するための前提条件が成り立っていない。

「景気対策の規模は10兆円ぐらいあったほうがいい」

 ここでもう1つ、決して見逃してはならないマイナス金利の副作用が、最近目立っているように思う。それは、財政規律の緩みである。景気下振れリスクや、上海で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での景気刺激に関する合意を大義名分にして、日本は財政政策を積極的に使って景気を刺激すべきだ、さらには2017年4月に先送りされている10%への消費税率引き上げを再延期すべきだという主張が、政府・与党内などで広がっている。