むろん、そこまでは誰でもわかるのだが、打ち出された政策を大統領がどこまで「本気」で実行するつもりでいるのかは誰にもわからない。「ディール」の流れ次第で落としどころが変わる話だとするならば、大統領本人も事前に決着点を決めていないのかもしれない。そうした悪い方向の不確実性を市場は本質的に好まず、「リスクオフ」へと傾きやすくなる。

中間選挙を念頭に置き、保護主義を前面に出した政策でアピール(画像:leirbagarc/123RF)
中間選挙を念頭に置き、保護主義を前面に出した政策でアピール(画像:leirbagarc/123RF)

トランプ大統領は「単独飛行」を始めた

 上記に加えて市場の不安心理増大につながっているのが、トランプ政権の「リシャッフル」(閣僚入れ替え)である。国際協調派・穏健派を更迭し、代わりに保護主義派・強硬派を登用する流れが続いている。

 3月22日には、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が4月9日に辞任し、ネオコン(新保守主義派)の代表的人物として知られるボルトン元国連大使が後任となることが発表された。3月はティラーソン国務長官やコーン国家経済会議(NEC)委員長の退任も明らかになった。

 ジャーナリストの木村太郎氏は3月15日の東京新聞に掲載されたコラムで、AP通信が11日に配信したニュース「トランプは単独飛行をはじめた」に注目。トランプ大統領はこれまでは「補佐官や顧問などの教官の指導でホワイトハウスという飛行機の操縦を覚えていたが、ここへきて単独飛行を始めた」ようだが、それは「全て自分の考えだけで超大国を操縦してゆくということではないらしい」「『右へ旋回』とか『上昇して』というような指示は受けなくなったが、『進路を横切る飛行機がいますよ』とか『前方に積乱雲が発達していますよ』という情報を得て単独飛行をしているようで、とりあえず墜落の心配はなさそうだ」とした。

「行き先」はとんでもない場所になりかねない

 だが、木村氏のこの結論は楽観的に過ぎる。自分の考えに沿わない、あるいは相性がよくないと感じた人物を遠ざけて、保護主義派・強硬派を周囲に数多く置いて彼らから情報を得てトランプ大統領は「操縦」しているわけであり、それで「墜落」しないとしても、「行き先」がとんでもない場所になりかねないと、筆者は厳しく考えてしまう。保護主義的な政策を本気で実行していってしまう場合は、世界経済全体に悪い影響が及び、成長や貿易が鈍ってしまう。

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