年初から続いている内外金融市場の不安定な動きを、麻生太郎財務相は「激しく上下、左右に動いている」と形容した(当コラム2016年3月1日配信「『俺たちの太郎』、またも麻生節炸裂!」ご参照)。株価の日々の振れは、日米ともに非常に大きい。

 ドル/円相場は一時110円台まで円高ドル安が進むなど、レンジがシフトした。日米独の長期金利は一段の低下。原油など国際商品の市況は、新たな情報に一喜一憂する不安定な展開である。

 こんなことが日々続いていると、市場参加者も政策当局者も、どうしても「近視眼的」になりやすい。大局的・本質的なとらえ方ができなくなり、足元の景気をいかに下支えするかといった短期的なテーマに関心が寄せられやすくなる。一部で出てきた国際協調による財政出動の主張も、そうしたエピソードの1つだと理解すべきだろう。

 だが、以下4つの点を世界経済や金融市場の大きな枠組みとして十分に認識し理解した上で、中長期的に望ましい経済政策の処方せんを各国は熟慮すべきだというのが、筆者の主張である。

賭けに任せていいのか

(1)先進国の経済は「低成長・低インフレ」期に移行
 潜在成長率が低下した原因として指摘されていることは、グローバルな金融危機がもたらしたダメージ、人口動態の変化(出生率低下と高齢化の進展)、長期にわたる「生産性革命」の欠如など、いくつかある。

 また、インフレ率の水準が先進国で以前に比べると下方にシフトしたことには、グローバル化・IT(情報技術)化を背景とする賃金上昇率鈍化という構造的な変化の寄与があるというのが、筆者の持論である。

(2)上記に沿って、政策金利や市場金利は「低金利」期に移行
 当然のことながら、高成長の時代よりも低成長の時代の方が、あるいはインフレの時代よりもディスインフレ・デフレの時代の方が、金利の水準は低くなる。