地銀の営業基盤が弱体化、再編の呼び水になる可能性も
一方、四国は0.6%増、東北は1.4%増にとどまった。県別では愛媛が0.4%減、岩手もわずかにマイナス。若者の都市部転出や相続に伴う資産の流出、企業活動の停滞などが背景にあるとみられる。
地方で預金の伸び悩みが続けば、地銀の営業基盤が弱体化し、再編の呼び水になる可能性もありそうだ。
関東地方(特に東京)に法人預金が集中する傾向が加速している背景についてこの記事は、①日銀のマイナス金利導入をうけて企業の債券運用が減り預金滞留額が増えたこと、②高水準の企業収益を指摘した。
さらに、地方で預金が伸びにくい理由としては、①若者の転出や相続に伴う都市部への資産流出、②地元での企業活動の停滞を挙げた。
法人預金全体の動きについて実際の数字を確かめるため、日銀発表のマネーストック統計に含まれている法人預金の種類別残高を見ると、マイナス金利導入の次の月(2016年3月)に預金通貨(普通預金など要求払預金)が急増したことが確認される(前月比+8兆2684億円)<■図1>。
これに対し、預金通貨との金利差がほぼ消滅し、一定期間資金が固定されるというデメリットの方が意識されやすくなった準通貨(定期性預金)やCD(譲渡性預金)は、3月に残高が減少した(前者が前月比▲7561億円、後者が同▲2兆4247億円)。
事業法人による債券運用が減少した理由
また、日本証券業協会が発表している公社債投資家別売買高から、事業法人(マネーストックで出てきた法人預金の「法人」よりも範囲が狭いことに留意)による債券運用の動向(除く短期証券ベース)を見ると、日銀がマイナス金利を導入した頃から買付額-売付額のプラス幅(買い越し幅)が一段と縮小していることがわかる。直近データである今年1月は+391億円にすぎない<■図2>。
事業法人の買い越し幅は、以前は1000億円を超える月が珍しくなく、2015年2月には4938億円の買い越しとなっていた。だが、1000億円超えは2015年11月(1634億円)が最後。2016年は、1月が983億円、マイナス金利が導入された2月が782億円で、3月は403億円にとどまった。
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