◆2月16日 ~ 市場が「激しく上下、左右に」動いている

(政府として16日からのマイナス金利にどのような効果を期待しているのか、との問いに)

「世界的にリスクの回避に向かって市場がいろいろ動き回っている。激しく上下、左右に動いていることは確かなんだと思うが、政府として、これに対してすぐ右往左往するということではなくて、G7(先進7カ国)とか、その他いろいろな国際社会との連携というものをきちんとしながら、こういったものに対応していこうと思って、民需主導というものの、いわゆる好循環の確立というものに向けてしっかりと動いていきたい、動いていかないといけないところなんだと思っている」

「世界的にリスクが激しく上下、左右に動いている」

「その(マイナス金利の)効果については、短期とか長期とか、日本の金利の曲線、通称、業界で言うイールドカーブというやつだが、こういったものが全体にわたって引き下げられる、長短両方共ね、そういったものが引き下げられるということによって、いわゆる消費とか、投資にプラスに働くということだろうし、資産の運用の変更というものを、現預金、預貯金に偏っている日本の場合は、金融資産1360兆円のうち880兆円ぐらいは現預金だという話だから、そういったものに、経済の拡大というものにプラスになる効果を期待されているんだろうと思うし、われわれもそういった出てくることを、期待をしているところではある」

「少なくとも新しい政策を取り入れたら、すぐ2日で3日でというような短期でものを見ているというのは、デイトレーダーならともかく、普通の人なら、もう少し対策が出たらその効果が出るまでは少々、時間を持って見守っていくという姿勢が必要なんじゃないですかね」

 2月16日の発言のうち、「世界的にリスクの回避に向かって市場がいろいろ動き回っている。激しく上下、左右に動いていることは確か」というくだりについて、筆者は考えさせられた。

 相場が激しく「上下」に動くというのはわかるが、同時に「左右」にも動くというのは、どういうことを指しているのか。いろいろ考えてみたのだが、理解不能である。そのすぐ後に出てくる「右往左往」という表現とリンクして言ってみただけなのだろうか。それとも、日銀がマイナス金利の導入によって金融緩和を「三次元」にしたと説明していることが麻生大臣の頭にあったため、ダイナミックな表現になったのだろうか。

 これより前、2016年2月2日の上記発言の中で麻生氏は、日本経済の実情を的確かつコンパクトに描写した。「金がない、需要がある」のでなく、「金はある、需要がない」というのである。

 エコノミストの一人として、この指摘に筆者は全面的に賛成である。人口減・少子高齢化が首都圏よりも先行して進んでいる地方圏を中心に日本の金融機関がいま直面している問題の本質は、これである。

 とすると、日銀がマイナス金利を導入してまで金融緩和を一段と強化しても、景気に対する刺激効果は乏しいというのが、素直な結論になるはずである。だが、おそらく財務大臣あるいは副総理という立場ゆえに自ずとブレーキがかかり、そこまで踏み込んだ発言を麻生氏は行っていないのだろう。

 マイナス金利について麻生氏の本音のトークを、いずれ聞いてみたいものである。

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