フランスの大統領選挙が最大の注目材料

 4~5月には、フランスの大統領選挙が非常に大きな注目材料になる。第1回投票が4月23日に行われた後、上位2候補が5月7日の決選投票に臨む。マリーヌ・ルペン党首率いる極右政党・国民戦線(FN)は、父親が党首だった時代は過激な排外思想を前面に出していた。だが、娘の代になってから大衆政党化を図り、支持層拡大に成功している。公約の目玉は、フランスをEUから脱退させること。大統領選に勝った場合、半年以内にEU離脱を問う国民投票を実施することを決めた上で、EU側と条件交渉を行うとしている。

 直近の世論調査では、第1回投票ではルペン党首がトップになるものの、決選投票では他の候補(中道無党派のマクロン前経済相あるいは中道右派のフィヨン元首相)が勝利する見通しになっている。

ルペン勝利の確率は世論調査の数字より高い

 だが、昨年の米大統領選では、「隠れトランプ支持派」が多数存在していた。このため、世論調査を額面通りに受け取っていた人は、筆者を含め、予想を外すことになった。そうした苦い経験に鑑みると、仏大統領選挙の場合も、ルペン党首が勝利する確率は世論調査の表面の数字よりも高いとみるべきだろう。決選投票は50%をはさむ僅差での決着になるのではないか。

 そのほか、選挙法改正が前提になるが、本来は2017年に実施予定のイタリアの下院選挙が、秋から年末に前倒しで実施されるとみられている。この国では通貨統合からのイタリア離脱を唱える新興政党「五つ星運動」が世論調査で高い支持を得ている。

政治リスク受け、欧州中央銀行は緩和強化の可能性も

 市場の一部には、ECBが年内に量的緩和のペース(4~12月の9か月間は月額600億ユーロに減額して継続と決まっている)をさらに落として、「テーパリング(資産買い入れの段階的減額)」志向を鮮明にするのではないかという見方もある。だが、筆者は全くそう思っていない。

 むしろ、仏大統領選挙に代表される、欧州全体の先行き不透明感を強めかねない重大な政治リスクがあるだけに、金融市場は不安定化しやすい。このため、ECBは必要があれば緩和強化も辞さない、きわめて慎重な政策の舵取りを行うだろう。

この記事はシリーズ「上野泰也のエコノミック・ソナー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。