日米欧それぞれの「サービス」の物価指数から、経済の先行きを考えてみよう。

「サービス」の動向から分析する、物価のベースライン

 日本の全国消費者物価指数(全国CPI)、米国の消費者物価指数(CPI)、ユーロ圏の統合ベース消費者物価指数(HICP)の前年同月比を、財とサービスの別にチェックする作業を行ってみよう。筆者は以前から次のような主張をしている。

 それぞれの国・地域の消費者レベルの物価指数において基調(ベースライン)となるのは、賃金の増減を最大のドライバーとする「サービス」の動向である。原油など国際商品市況や為替相場の動きに左右されやすい「財」の動向(前年同月比)は、時に大きな波を形作るものの、ベースラインにならないのが常である。

 そうした認識を踏まえた上で、それぞれの直近の推移についてコメントすると、以下のようになる。

日本の物価は今なお「ゼロインフレ」

①日本<■図1>

■図1:日本 全国CPI(総合) 財、サービス別
(出所)総務省

 「アベノミクス」の下でも、全国CPIのうちサービスの前年同月比が0%近辺という状況には、変化が起こっていない。2014年4月から1年ほどの上方への出っ張りは、消費税率が5%から8%に引き上げられたことによる一時的でテクニカルなものにすぎない。

 要するに、日本の物価のベースラインは今なお「ゼロインフレ」である。そして、民間最終消費支出デフレーターの前年同期比は全国CPIのそれよりも低い数字になるので、結局のところ、日本経済のデフレからの脱却はいっこうに実現していないと言える。

 2月6日には2016年の毎月勤労統計調査速報が発表され、実質賃金が0.7%という小さな幅ながらも5年ぶりに増加したことが大きく報じられた(22日発表の確報も同じ数字)。