白井、石田両審議委員の後任がどうなるかは現時点では不明だが、一つだけ言えるのは、後任が「議長案に反対票を入れない人」になる場合、日銀金融政策決定会合の「スリーピングボード化」が進行してしまう恐れがあるということである。

 むろん、執行部トップ3人+執行部寄りのスタンスをとる審議委員によって過半数を確保できる状態自体は、今回の人事がどう決着するかにかかわらず、基本的に変わりがないと見込まれる。

 だが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」という実験的で危うい政策が、たとえば10~20年後に歴史的・大局的な観点から評価される際には、決定会合でしっかり議論されていたのかどうかが重要性を持ってくる。

 そうしたことも考えながら、上記の審議委員2人の後任人事に、筆者は大いに注目している。

【米国】
 昨年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で決まった約9年半ぶりの利上げの関連で、クリントン政権で活躍したサマーズ元財務長官が、強い警告を発している。

 サマーズ氏は2015年8月から9月にかけて、米国の早期利上げに反対する主張を展開した。8月24日には英フィナンシャルタイムズに寄稿し、「近い将来の利上げはFRB(米連邦準備理事会)が掲げる3つの目標である物価安定・完全雇用・金融安定のすべてを危うくする大きな過ちだ」と指摘。

サマーズ復活への布石?

サマーズ復活はあるのか(写真:ロイター/アフロ)
サマーズ復活はあるのか(写真:ロイター/アフロ)

 9月10日にはCNBCテレビで、経済下振れの大きなリスクがあるかもしれず、不透明感をこれ以上高めないためにも、今は利上げすべき時ではないと主張した。

 結局、9月ではなく12月に利上げされたわけだが、年明け1月13日にサマーズ氏はブルームバーグテレビで、「世界経済が米国の年4回の利上げに十分耐えられるとしたら驚きだ」「政策当局者は悪いシナリオに対する保険を重視すべきだ」と発言。2%のインフレ目標が達成されるまでにはFRBの予想よりもはるかに時間がかかることが想定されるとも述べた。

 イエレン議長が率いるFRBの金融政策運営にサマーズ氏が注文を付けたり、警告を発したりしている背景には、次期FRB議長人事というテーマが見え隠れしているように、筆者には思われる。

 米国の大統領選挙は、2月1日のアイオワ州党員集会を皮切りに民主・共和両党の大統領候補指名争い(代議員獲得競争)が続いているが、共和党は党内における路線対立の深刻さゆえに、幅広い選挙民の支持を集める候補者を選ぶことができそうにない。

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