各国のパワーバランスの変化を背景に中国や北朝鮮は新たな動きを見せている。(写真:PIXTA)

「成果」を挙げたと言われる安倍首相だが…

 2月10日にワシントンで開催された日米首脳会談は、トランプ政権が発足してからあまり時間が経っていないため国際行事への対応に不慣れであることも手伝い、日本政府のペースで事前準備が進められ、会談の結果は思惑通りになったと評されている。安倍首相は翌11日のフロリダ州でのものを含む一連の行事を通じて、トランプ大統領と親密な関係を築くとともに、日米同盟の重要性を再確認させて、通商・為替・金融政策に関する「火種」を、少なくとも当面は封じ込めることに成功した形である。だが、本当にそれだけなのか。筆者は「中国の影」がどうしても気になっている。

 10日に行われた首脳会談終了後の共同記者会見では、トランプ大統領が中国に関連して「通貨切り下げについて私は長い間不満を訴えてきた。大方の予想よりもずっと早く、我々は公平な条件になるだろう」と述べ、これが円買いドル売りの材料になる場面があった。

「陰の主役」は実は中国だったのではないか

 だが、安倍首相は「私から経済対話の枠組みを提案し合意した。為替については日米の財務相間で緊密な議論を継続させる」と明言。為替相場の問題は首脳レベルではなく財務相レベルで議論するという基本線を確認することに成功したと受け止められる。日本側によると、従来通り「為替は財務相間で緊密に議論する」との方針を首相が提案したところ、異論は出なかったという。

 また、日米首脳共同声明には、「両首脳は、国内および世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融および構造政策という3本の矢のアプローチを用いていくと再確認した」と記された。これに関連して日本政府の首相同行筋は、円安の一因とされている日銀の金融緩和について米国側により「理解された」という認識を示した。

 これらの関連で当面注目されるのは、麻生副総理・財務相とペンス副大統領の下で進められる日米の新たな「経済対話」における具体的な議論の内容、および3月中旬にドイツで開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に合わせて開催見込みと報じられている麻生財務相とムニューチン財務長官の初顔合わせでのやり取りだろう。

 だが、この会談の「陰の主役」は実は中国だったのではないかという感も漂う。