「トランプ発」の自動車貿易摩擦や円高のリスク

 また、言うまでもないことだが、「トランプラリー」の反動で為替が円高ドル安方向に大きく揺り戻して輸出に悪影響を及ぼすことを警戒する必要もある。

 1月30~31日に開催された日銀金融政策決定会合は、金融政策の現状維持を決定した。すでに述べたように電子部品などの輸出・生産が足元で好調に推移している上に、昨年11月からの「トランプラリー」で円安・株高が進んだことが追い風になっており、日銀の景気見通しは強気に傾いている。黒田総裁は昨年12月26日に、「日本経済は、これまでは、いわばグローバル経済の『逆風』の中で奮闘してきましたが、世界経済が新たなフェーズに入る中で、これからは『追い風』を受けてさらに前進していくことが可能な状況になってきていると思います」と述べた。

 しかしその後、米トランプ政権の保護主義的な施策が世界経済に混乱を巻き起こすことが警戒されるようになっており、自動車を巡る日米貿易摩擦の再燃リスクも意識されている。

 これまでの「追い風」と、今後起こり得る強い「向かい風」の両方を考えると、日銀としては今後の景気・物価見通しで、過度に強気に傾斜するわけにもいかない。1月31日に公表された日銀の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、実質GDP(国内総生産)の見通しが2016・2017・2018年度いずれについても上方修正される一方、消費者物価指数(除く生鮮食品)の2017・2018年度の見通しは上方修正されず、据え置かれた。そして、物価の前年比が2%程度に達する時期については、「見通し期間の終盤(2018年度頃)になる可能性が高い」という、昨年10・11月の前回展望レポートの表現が維持された。さらに、中心的な見通しのリスクバランスは今回も、「下振れリスクの方が大きい」とされた。

ドナルド・トランプ米大統領の発言や行動に、日本経済が振り回され続ける可能性がある。(写真:ロイター/アフロ)