輸出の強い動きが、鉱工業生産の増加につながった

 この間、実質輸出(日銀が試算している数量ベースの輸出)がかなり強い動きとなっている。そうした中で出荷と在庫バランスが改善方向に大きく動き、在庫の水準が下がった。そこで、在庫補てんのため鉱工業生産が増加し、いわば実質輸出の動きにキャッチアップしてきている構図だとも言える<■図3>。

■図3:実質輸出指数と鉱工業生産指数
注:生産の直近2か月は製造工業生産予測指数(前月比)を用いた試算値
(出所)経済産業省・日銀資料より筆者作成

 加えて、国内需要の面では、新車販売台数(登録車)がニューモデル効果を原動力に足元で好調である。また、不振が続いてきた軽自動車でも販売が上向きに転じる兆しがある。自動車は生産面で、鉄鋼業など素材業種への波及効果が大きい。

輸出や生産の直近の強い動きの持続性には疑問符

 もっとも、輸出に関しては、①自動車を中心に生産拠点の海外シフトが相当進んでしまっていること、②電子部品のうち足元好調な中国メーカー向けを含むスマホ関連需要には製品サイクルの関係などから遅かれ早かれ一巡感が出てくるとみられること、③米国のトランプ政権が日本の対米貿易黒字を問題視していることなどから、輸出や生産で見られている直近の強い動きの持続性に、筆者は懐疑的である。

 なお、日銀は2月1日に公表した展望レポートの背景説明(BOX1)財別輸出の動向の中で、上記②の関連で、「情報関連について、企業からの聞き取り調査などによれば、最近は、スマートフォンの新製品向けだけでなく、中国スマートフォンのメモリ大容量化や、クラウド化に伴うサーバー需要の拡大、車載向け製品の増加など、電子部品需要の裾野に拡がりがみられてきている」と記述した。これは確かに明るい動きである。だが、足元の生産予測指数の伸びがあまりに急激であることも考え合わせると、それらの輸出にはやはり、一巡感が早晩出てくるのではないか。