英国のメイ首相は2月8日、日立製作所、日産自動車、トヨタ自動車といった在英日本企業の幹部とロンドンの首相官邸で意見交換を行った。EU(欧州連合)離脱にともなう日本企業の不安をやわらげるのが狙いだ。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ブレグジット交渉「第2段階」の行方

 2016年6月23日に実施された英国の国民投票は、EU(欧州連合)からの離脱(ブレグジット)を支持した有権者がEU残留を選んだ人を上回るサプライズになり、残留という結論でこの問題に終止符を打とうと考えていたキャメロン首相は退陣。後任のメイ首相の下で英国は2017年3月29日、EUに対し離脱を正式に通告し、2年間の交渉期間に入った。EUとの間で交渉が実際に始まったのは6月19日。EU側の首席交渉官は、「タフネゴシエーター」として知られるミシェル・バルニエ氏である。「手切れ金」など主要3分野で十分な進展があったとして基本合意に達したのが12月8日。そしてEUは同月15日に開催した首脳会議で、貿易など将来の関係について協議する「第2段階」に移行することを決定した。

 英国がEUから離脱する日は2019年3月29日とすでに決まっているが、そこから2年程度は英・EU関係激変による経済的な混乱を回避するための「移行期間」になる。今年1月29日にEUは閣僚理事会を開き、この移行期間に関する交渉を欧州委員会に認める「交渉指令」を採択した。この指令は、英国が2019年3月にEUから離脱することを前提に、移行期間のリミットを2020年12月31日と明記している。この移行期間中、英国は従来通り、関税同盟と単一市場に残って、EU法の適用を受けることになる。だが、もはや加盟国ではないので、EUの閣僚理事会などでの政策決定には原則として関与できない。

 3月頃からは英・EU間で、貿易に関する交渉が始まる見込みである。加盟国に適用される「域内の人の移動の自由」やブリュッセルのEU官僚が作り上げた厳しい規制などを嫌って離脱を選択した英国は、貿易の面ではこれまで同様のメリットが得られる関係を、「自由貿易協定(FTA)」を早期に締結することによってEUとの間で築こうと考えている。EU以外ともFTA交渉を急ぎたい考えで、驚くべきことに、英国がTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加する構想も取り沙汰されている。