◆中国の中央財経指導グループ弁公室の韓俊・副主任(2016年1月11日 ニューヨークの中国領事館で)

「(人民元が対ドルで一段と大幅に下落すると想定するのは)ばかげている」「人民元に対する経済ファンダメンタルズに大きな変動はみられない」「人民元を空売りする試みは成功しないと思う。投資家は人民元を信頼すべきだ」

~ 人民元の対ドル相場下落(=人民元からドルへの資金流出)の問題で、事態の全体像を人民銀行など中国の政策当局がどこまで把握してコントロールできているのかに、市場は疑念を抱きつつある。

 IMF(国際通貨基金)がSDR(特別引出権)の構成通貨に人民元を新たに採用することを決定した後で、無理に通貨価値を支える必要性はもはや薄れたという考えから人民銀行が元安ドル高に誘導し始めたというような、単純な話ではなさそうである。

 人民元の下落を当局が容認していることへの不信感から、「草の根」レベルで中国から海外への資本逃避(キャピタルフライト)が起こっており、人民銀行は外貨準備を大量に使ってドル売り人民元買い介入などをしてなんとか食い止めようとしているのではないかという見方が浮上している。

 中国の外貨準備高(金やSDRなどを含まないベース)は、昨年12月末時点で3兆3304億ドル(前月比▲1079億ドル)。12月の月間減少幅は過去最大で、このペースが続くと3年もたない計算である<図1>。そして、中国の外貨準備高は1月も995億ドルという巨額の減少になったことが、直近データから明らかになっている。

■図1:中国の外貨準備高
(出所)中国国家外為管理局(SAFE)

 仮に、中国の外貨準備高の急ピッチの減少が今後も続くようだと、中国は自国通貨の防衛を継続できなくなって人民元はフリーフォール状況に陥るのではないかといった見方が市場で広がりかねない。

日本の20年前に似た雰囲気

 また、最近の中国の政府当局者の市場に関する言動を見ていると、「上から目線」を感じることが多い。日本でも少なくとも20年ほど前まではそうした雰囲気が漂っていたと記憶している。だが、内外経済におけるマーケットの影響力の大きさが政治の世界でもよく知られるようになる中で、日本の当局者の姿勢は大きく変わり、マーケットの動向を重視して、参加者の意向を尊重するようになっていった。