もう一つ、「共働き世帯の増加」も、猫が選ばれやすくなってきた主な理由だと、筆者はみている。

 夫婦が両方とも仕事で家をあけたままの時間が長いライフスタイルだと、散歩やしつけに手間がかかる、しかもなついている分、どうしても寂しがる犬は、敬遠しやすいのではないか。自由気ままな性質で、手間が相対的にかからない、しかも会社の上下関係などをイメージしなくてもよい適度な距離感がある猫の方が、好まれやすい要素があるように思われる。

猫の飼育数が犬の飼育数を上回った背景には、社会構造の変化がある。(写真:eriklam/123RF)

日常生活の視点から経済社会の変化を読み取る

 上で指摘した2点のほかにも、保育施設の子どもの泣き声にさえ近所の住民がクレームをつけるほど「音に敏感」になってしまった日本の社会状況の変化(全てではないが一部の人々の意識の変容)も、吠える声が大きい犬にとって、大いに不利な材料である。

 ちなみに、筆者は犬が昔からやや苦手なのだが、これは幼少時の体験ゆえである。幼稚園に入った頃、近所で白いスピッツを飼っている家があった。まだ小さいから、犬がどのような動物なのかがよくわかっていなかった。筆者が興味本位でスピッツのしっぽを足で踏んでみたところ、思い切り吠えられてしまい、大泣きしながら親のところに逃げ戻ったという、今考えるとなんとも情けないエピソードをしっかり記憶している。

 かといって筆者が猫派かというと、そうでもない。これまでの長い人生で、気まぐれな人に悩まされてきた経験がけっこうあるので、猫の自由気ままな性格を素直に癒しだと受けとめることには正直、ためらいがある。

 飼われているペットの種類の盛衰からも、日本の経済社会の変化を読み取ることができる。こうした日常生活などに密着した視点からのコラムを、今後も随時発信していきたいと考えている。