なお、上表にも登場している中原伸之元日銀審議委員は、今年1月8日にロイターが配信したインタビュー記事の中で、年初からの世界同時株安について「米利上げ以降、良いことが起こっていない。利上げは失敗。00年にゼロ金利解除した日銀と同様、いずれ撤回に追い込まれる」と明言。ゼロ金利や量的緩和の復活もあり得るとの見通しを示した。

 このように見てくると、米国の今回の利上げがいかに「危なっかしい」政策変更なのかが浮き彫りになる。

 むろん、イエレン議長は2000年8月の日銀の失敗を知っており、その考え方はハト派寄りでもあるので、追加の利上げを今後強引に推し進めるとまでは考え難いわけだが、今年中に4回も利上げするだろうというFOMC参加者の昨年12月時点の見通しは、現実味がまったくなく、願望の域を出ない話だと言わざるを得ない。

むしろ利下げやQE4か

 「先行き不安が政策不信に変わってきた中国経済」「下げ止まりが見えない原油価格」「米利上げ後の世界的なマネーフロー変調」。3つの大きなリスクを今年に持ち越した中で、「世界同時株安」が年初から再び発生し、深刻化している。

 3月といった早いタイミングでの米国の追加利上げはきわめて難しい情勢である。利上げ路線自体が頓挫してしまい、逆に利下げ観測や量的緩和第4弾(QE4)観測が浮上する可能性も意識しながらマーケットを注視していく必要がある。

 日米金利差が拡大しない中で、ドル/円相場では円高ドル安方向へのレンジシフトが起こりつつあり、円高の進み具合い如何では日本経済の下振れリスクが大きくなる。ちなみに、年初の時点で筆者が提示した今年のドル/円の予想レンジは108~125円である。