トランプ政権への期待感が反映された

 その構成要素である①向こう6か月の景気見通し、②向こう6か月の家計の資金繰り見通し、③連邦政府の現在の政策運営への信頼度は、いずれも上昇。それらの中で目立つのは、③が48.3(同+5.2ポイント)に急上昇したことである(2007年8月以来の水準)。オバマ大統領がまだ在任している中で行われた調査であるにもかかわらず、トランプ次期政権への期待感が一定範囲内で反映されたことがうかがえる。

 ちなみに、支持党派別のデータを見ると、当たり前だが共和党支持者のマインドの高揚が際立っており、①向こう6か月の景気見通しは86.6に急上昇した。一方、民主党支持者では28.2に急低下。無党派層は58.5になった。

 さらに、悪天候のため当初の予定よりも1日遅れて1月11日に発表された1月のIBD/TIPP景気楽観度指数(調査期間:1月3日~9日)は、小幅上昇して55.6になった(前月比+0.8ポイント)。06年11月以来の水準である。内訳では、③が48.5に水準を切り上げた(同+0.2ポイント)。金融市場で株高を主軸とする「トランプラリー」が続いたことも、高い水準の維持に寄与した可能性が高い。

トランプ大統領への「期待バブル」か

 急角度で上向いたこれらの経済指標を眺めていて、筆者だけでなく、おそらくかなり多くの日本の市場関係者が考えるのは、トランプ政権の政策運営への期待感が、米国内であまりにも過大になっていはしないかという点だろう。

 新たな政治指導者の登板による大胆な政策転換によって、あたかもオセロゲームのように局面が大転換するのではないかという期待感が、現実の分厚いカベに阻まれて失望に変わるというのは、十分に考えられるシナリオである。そして、膨らんだ期待が大きければ大きいほど、その反動もまた大きなものになりやすい。

ドル高放置ならレーガン時代の「双子の赤字」再び?

 市場はトランプ政権の経済政策への過大な期待を原動力にして、株高・ドル高・債券安に大きく動いた。だが、大幅なドル高は、すでに触れたようにグローバル展開している米国の企業の収益悪化に着実に結び付くわけであり、「ユーフォリア(陶酔状態)」的な相場形成は、遅かれ早かれ行き詰まらざるを得ない。また、ドル高を放置すれば、トランプ政権は「双子の赤字」に苦しんだ「レーガノミクス」の轍を踏むことになりかねない。

 就任前の記者会見を含め、トランプ大統領のこのところの発言内容やツイッターでの記述内容を見ていると、この政権は今後の各種政策運営に関し、確固とした「見取り図(マップ)」、ストラテジー、あるいは工程表のようなものを、実は全く有していないのではないかと考えざるを得ない。

数か月以内に、トランプ政権は迷走する

 発足したばかりの政権の支持率は初期段階では高いのが通常で、そのパフォーマンスをマスコミはあまり叩かず「お手並み拝見」を決め込むのが漠とした慣例になっている。そうした「最初の100日」の間は目立たないのかもしれないが、おそらく数か月以内に、「トランプ政権が迷走」「トランプ政権への失望感高まる」といった類の見出しが、マスコミ報道のあちこちに現れるのではないかと、筆者はにらんでいる。