米国の貯蓄率は住宅バブル崩壊で一時上昇も、その後再び低下

 貯蓄率は、1960年代から80年代前半までは、10%前後以上の水準となっていた。その後、1980年代後半から1990年代前半に貯蓄率は8%前後に水準を切り下げ。インターネットバブルが膨らむとさらに下がり、2000年には4%前後になった。貯蓄率というのは可処分所得に対する貯蓄の割合だから、これが下がるということは貯蓄せず消費に回るお金の割合が高くなっているということを示している。このバブルが崩壊すると、過剰消費への傾斜を米国人は反省したのか、水準をやや切り上げて貯蓄率はしばらく安定的に推移した。だが、今度は住宅バブルが膨らんで、貯蓄率の低下を促すことになる。2005年7月には2%を割り込み、1.9%を記録した。

 2006年に住宅バブルが崩壊して住宅価格が急落。金融システムが不安定化する中で景気全体が急速に悪化すると、貯蓄率は水準を切り上げていき、2009年5月には8.1%に達するなど、6~8%程度の新たなレンジを形成した。米国人の過剰消費体質が金融ショックで変化したのではないか、そのことにより米国の経常赤字幅が縮小すれば世界経済全体にとっても朗報ではないかという議論が展開されたのは、この頃だったと記憶している。2012年12月には11.0%というイレギュラーに高い数字が単月で出てきた。

 ところがその後、各国当局の政策総動員によって経済金融情勢が安定してくると、米国の貯蓄率は下がり始める。4~6%程度のレンジを新たに形成したかに思われたが、4%ラインを突き抜けて貯蓄率は低下していき、2017年11月には2.9%まで下がった。これは2007年11月以来の水準である。

米国の過剰消費体質の「復活」が浮かび上がる

 消費者信用残高という別の米経済指標からも、過剰消費体質の「復活」が浮かび上がる。大まかに言うと、この統計は住宅ローン以外に米国人が抱えている借金の残高を示すもので、クレジットカードローンなどの回転(リボルビング)信用と、教育(学費)ローンや自動車ローンなどの非回転信用から成り立っている。

 全体は2017年10月まで74カ月連続増加中であり、うち回転信用は47カ月連続、非回転信用は74カ月連続の増加である。非回転信用のうち、自動車ローンの残高増加、中でも信用スコアが低い人向けのいわゆるサブプライム自動車ローンの増加には問題がある。また、教育(学費)ローンは、大学授業料の高騰を背景に借り入れる人が増えており、就職してからも返済負担に苦しんでいて住宅の購入などがなかなかできないことが社会問題と化している。だが、これらについてここでは詳述しない。