中国市場で巻き返しを狙う韓国勢

 LG化学は南京江寧濱江開発区に、LIB生産拠点として新たな南京第2工場の建設に着手している。19万8000平方メートルの敷地に、2023年まで約2100億円規模の大投資により、EV換算で年産50万台規模を計画している。19年10月から段階的に稼働開始するという。この起工式に南京市の張敬党書記と共に出席したLG化学のパクチンス副会長は、「南京第2工場は最新技術と設備を投資し、急成長するEV電池市場に対応できるように世界最高水準の工場を建設する」と力説した。

 一方、12月10日の東亜日報によれば、サムスンSDIは西安市に車載用LIBの第2工場建設を検討しているとのこと。今後、中国市場でのEV需要が大幅に伸びると展望し、まさしく2020年からの補助金政策が廃止されることに合わせて、生産能力を確保することを念頭に置いたビジネスモデルである。

 投資規模は105億元(約1700億円)、16万平方メートルの敷地にEV用の60Ah級LIBを生産する5ラインの模様である。同社は現在、韓国蔚山(ウルサン)と西安、そしてハンガリーの3カ所でxEV用LIB生産工場を構えている。生産能力はEV基準で、蔚山が6万台、ハンガリーが5万台、既存の西安が3万台となっている。

サムスンSDIの蔚山工場は車載用LIBの主力拠点
サムスンSDIの蔚山工場は車載用LIBの主力拠点

 第3勢力のSKイノベーションも、中国補助金政策打ち切りのタイミングを勘案して、既に江蘇省常州市にEV用LIB生産工場を着工中だ。生産能力は7.5GWhで、50kWhのLIBを搭載するEV換算では15万台に相当する。既存の韓国忠清南道瑞山(ソサン)市のLIB工場を約5GWhまで拡大する計画と共に、18年3月に着工したハンガリー新工場は7.5GWhであることから、2022年には年産約20GWh規模に達する見込みである。

 同社は2017年から、独ダイムラーのメルセデスベンツのEVにLIBを供給しており、その流れを受けて三菱ふそうトラックのEVにも同社のLIBが適用されている。

欧州自動車各社の巨額LIB調達

 そのダイムラーは、2025年までに全販売台数の15~25%をEVにする計画だ。現在、SKイノベーションの他にLG化学からもLIBを調達している。同社はLIBセルを電池大手から調達し、自社でモジュール以降から電池パックまでの生産モデルを展開している。

 同社は、2030年までにxEV向けに約2兆5700億円分のLIBを調達すると発表した。LIBの長期調達計画を明らかにすることで、電池メーカーに対する求心力を拡大し、投資促進を図っている。

 LIBの巨額調達をめぐっては独フォルクスワーゲン(VW)が2017年の段階で、25年までに6兆5000億円を調達すると発表していた。EV市場が拡大すれば電池の生産能力が不足するという見方もあり、欧州自動車各社は生産キャパの安定調達を戦略的に推進している。

米テスラの投資とリスクの共存

 テスラは2018年7月、中国上海市に年産50万台規模のEV工場建設を決定していた。同年10月には、上海臨港装備産業パークに86万平米の用地を確保した。

 中国の21世紀経済報道によれば、2018年12月18日付で、同社は上海市にEV工場を間もなく着工するという。投資総額は8200億円規模になる見込み。第1段階では約2600億円の投資規模で完成車組立ラインを建設するとのこと。19年下半期の量産化を目指す模様だ。上海工場で生産するのは普及型EVの「モデル3」とSUV型の「モデルY」で、年産20万台から始め、最終的に50万台を目標にしている。

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