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中国のリチウムイオン電池製造工場(写真:ロイター/アフロ)

 2015年、韓国のサムスンSDIとLG化学は車載用リチウムイオン電池(LIB)の生産工場を、それぞれ西安市と南京市に構えた。日本勢が中国進出をする前にスピード感を発揮して中国のローカル自動車メーカーに供給するビジネスモデルを描いていた。

 2016年2月には、パナソニックが大連遼無二電気として車載電池製造の合弁会社を設立した。その延長上で、17年4月にはパナソニック オートモーティブエナジー大連として、LIB生産拠点の新工場を開所した。このビジネスモデルは、トヨタ自動車とホンダが現地生産する電動車(xEV)に供給すると共に、中国ローカル電気自動車(EV)メーカーへの供給も視野に入れた戦略だった。

中国政府の外資排除

 このようなビジネスモデルが中国国内で進行すると、その影響を大きく受けるのは中国ローカルのLIBメーカーである。現在、車載用LIBのローカルメーカーは200社にものぼると言われている。

 日韓のLIBとは性能面や安全性の面で劣勢にある中国の大半のローカルメーカーにとっては、非常に不利なビジネスとなることが容易に推測される。その背景から、2017年に中国政府が打ち出した「バッテリー模範基準認証」、いわゆるホワイトリストで外資の排除に向かった。すなわち、中国の電池産業を国策として保護するために、様々な理由をかざして日韓電池各社の締め出しを図ったのである。

 そのホワイトリストには中国系のみ57社が登録され、それらのLIBを搭載するEVには補助金を出す一方、ホワイトリストに組み込まれていない日韓電池各社のLIBは補助金の対象から外された。その結果、日韓の、とりわけ韓国の2社には厳しい仕打ちとなった。

 パナソニック大連のビジネスは、中国ローカルEVメーカーへの供給ができなくてもトヨタとホンダのxEVに供給できれば自立可能なビジネスとなる。2018年には、北米で生産開始となったホンダのハイブリッド車(HV)にも供給が始まった。

 その点、韓国勢は中国ローカル自動車各社との連携でビジネスモデルを進める必要があるのだが、残念ながら中国のあからさまな外資排除により、サムスンSDIは稼働率が急速に低下し、社員の解雇にも追い込まれた。その後は、オーストラリアで活発な太陽光発電事業の電力の受け皿となる蓄電ビジネスを獲得し、西安工場で生産されるLIBをこの事業に結び付けていった。

 同時に、経営判断にスピード感があるサムスンSDIとLG化学は矛先を欧州に向けた。LG化学はポーランドに約400億円を投じてLIB工場を建設し、いち早く稼働を開始した。サムスンSDIも同等規模でハンガリーにLIB工場を建設し、2018年から稼働を始めた。

 この両社の動きを静観していた韓国SKイノベーションも、ハンガリーに850億円規模の大投資を決断し、2020年の稼働を目指している。すなわち、韓国3社が欧州自動車業界にビジネスを拡大する戦略に出て行った。

 もっとも、2019年からは中国エコカー政策として新エネルギー車(NEV)規制が発効する。そして、20年からは中国のエコカーへの補助金が終了する。となれば、ホワイトリストは意味がなくなりLIB業界にとっては中国ローカルメーカーが優遇されないフラットな市場になる。そのまま進めば、日韓勢にとっては極めて大きな追い風となる。