朴槿恵大統領機密漏えい問題で聴聞会に出席した財閥トップの面々(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 11月1日にソウルへ出張したが、その日は夕方から朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する抗議デモが行われ、ソウル市内中心部の光化門広場を中心に3万人ほどが集結した。デモの様子は連日日本でもテレビで放映され、デモ隊の人数は日増しに急激に膨れ上がり、その10倍まで膨らむには時間を要しなかった。

 12月9日、韓国国会は朴槿恵大統領が友人の崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入疑惑による責任追及として、弾劾訴追案を可決した。弾劾案の賛成票は80%に達したという。

 これにより、原則180日以内に朴大統領罷免の是非を憲法裁判所が判断することになる。裁判官9人のうち、6人以上が賛成すれば朴大統領は罷免され、60日以内に大統領選が実施されることになる。5人以下となった場合には職務復帰となる。

 既に、次期大統領候補として、2007年1月から国連事務総長を務め本年12月末に任期を終える潘基文(パン・ギムン)氏をはじめ、有力候補の名前が浮かび上がっている。

 ともかく、それまでの間は朴大統領の職務権限は停止となり、黄教安(ファン・ギョアン)首相が代行する。大統領が圧倒的な権限を持つ韓国では、政界のトップ外交は一時中断となり、対北朝鮮対応に関しても求心力が低下し、さらには政権がリードしてきた産業界の発展にもブレーキがかかることは否めない。

 さらには、崔順実被告が実質コントロールしている財団に、大手財閥グループが多額の資金拠出をしたことが明るみに出た。各社の事業経営に見返りを求める賄賂にあたる疑惑があるとのことで、各財閥のトップが国会の聴聞会に証人喚問として召集される異例の事態となった。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、国会の席上で疑惑を否定している。

 この一連の騒動を受け、サムスン電子の李在鎔副会長の他、SKグループとロッテグループの会長も出国禁止の措置がとられたという。産業界も経営トップが圧倒的な権限を有する中、この措置により、産業界側のトップ外交にも大きな影響が出ることになる。

産業界の混乱はピークに

 そもそもサムスンにおいては、先の「Galaxy Note7」の爆発・火災事故で大きな影響が出ている最中に、この政界のスキャンダルが表面化、そこにサムスン側の資金提供に関する疑惑が重なり、グループとしては二重苦をかかえた格好だ。状況によっては、サムスン側の役員が刑事罰を受ける可能性も否定できないと報道されている。

 サムスングループの社長団、役員団の定期人事は毎年12月初旬に実施される。筆者がサムスンSDIに在籍していた2004年から12年までの間も、例外なく12月に執り行われていた。それはサムスンSDIを退社した13年から15年に至るまでも同じであった。