会見に出席したトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長(写真:つのだよしお/アフロ)

 本コラムを執筆している最中に大きなニュースが飛び込んできた。トヨタ自動車とパナソニックが電気自動車(EV)などに使用する車載用角形電池事業で、協業について検討を開始するという。12月13日午後の記者会見では、トヨタの豊田章男社長とパナソニックの津賀一宏社長が出席し、今回の提携に対する狙いを述べた。

 パナソニックは車載用電池では世界最大手。現在は、主に円筒形のリチウムイオン電池を米テスラなどの自動車メーカーに供給している。また、トヨタとは、合弁でプライムアースEVエナジー(PEVE、発足時はパナソニックEVエナジー)を20年前に設立。同社はハイブリッド車(HV)用のニッケル水素電池製造からはじまり、その後、リチウムイオン電池業へと事業拡大を図ってきた。

 これに対し、今回の協業は角形電池に関するもの。報道によると、津賀社長はEVという観点では現在のナンバーワン技術は円筒形電池であるものの、「将来を見たときにどこに伸びしろがあるのかは別の答えがあり得る」と述べ、従来とは異なる技術の開発に挑む決意を示した。

 豊田社長は、会見の中で2030年をメドに世界販売台数の50%以上をEVや燃料電池車(FCV)といった電動車にする計画を発表。これだけ大量の電動車を生産するためには、「車載用電池の性能アップと安定供給が必要不可欠になる」と今回の提携の必然性を述べた。

 両社は、業界ナンバーワンの車載用角形電池の実現を目指すとともに、ポスト・リチウムイオン電池の有力候補と目される全固体電池の開発においても協業を進める。津賀社長は、「リチウムイオン電池の限界が来るまで全固体電池のシフトを実現するよう準備をしたい」と語った。トヨタは、これまでにも全固体電池に多くの投資をしており、両社で今後の方向性を模索していくようだ。

 この発表が代表するように、全世界的に進むEVシフトと連動して、EVの今後の行方を大きく占うのが、ポスト・リチウムイオン電池である。上述の全固体電池をはじめ、リチウム空気電池、多価イオン電池などがその候補。学術界、研究機関、産業界のそれぞれで全世界的に研究開発が進展している。今回は、ポスト・リチウムイオン電池の中でも、リチウム空気電池と全固体電池に関して考察してみたい。

空気電池の可能性に陰り?

 まずリチウム空気電池だが、その実現には課題が大きく、難度が高い。リチウム空気電池は、下図に示すように正極に空気、負極にリチウム金属という構成表現になっているが、正確にはリチウム酸素電池にほかならない。

リチウム空気電池の作動原理

 空気の20.95%を占める酸素以外、すなわち78.08%の窒素、0.93%のアルゴン、0.03%の二酸化炭素は電池反応を阻害する物質であるから、窒素をはじめとするこれらの妨害成分を反応前に除去しなければならないという煩雑さが求められる。それを電池内に組み込んでシステム化するということは、電池がその分、大きくなる。そして反応の応答がその分遅くなることで、出力特性を要求する電池には、そもそも適さない。