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 彼によれば、インドは巨大な市場で産業成長率は次の5年間でCAGR(年間平均成長率)35%に達するという。しかし、日本や韓国が完成した技術を、中国がダンピングをしてインドに持ってきてビジネスをしていることが大きな問題であるとも。とにかく今後のインドは、脱中国依存を実現したいという思惑である。

 またインド政府は、EVを2030年時点で40%規模(400~500万台)まで拡大することを目標にしているという。しかしこのままの勢いだと、EV、リチウムイオン電池(LIB)、充電器とも、中国がインド市場をとることになりそうだと。したがって、日印の協力により中国のビジネスを阻止したいとのことだ。現状、EVはゼロだが段階的に拡大する計画で、インド政府は約3000億円を投資する計画中とのことであった。

インド政府筋との意見交換

 インドでのシンポジウムでは、日本側からはホンダ・インド研究所、日本ケミコン、日立研究所、東京大学が、インド側からは、電気化学中央研究所(Central Electrochemical Research Institute:CECRI)の政府系研究機関がプレゼンし、主に議論するスタイルで進められた。インド政府系関係陣としてはCECRIの他に、インド政府科学技術省、インド自動車研究所(日本の自動車研究所:JARIに相当)、非鉄金属技術開発センター、インド工科大学(IIT)が名を連ねた。

東大・堀団長によるウエルカムセレモニー

 インドの発電は石炭発電(しかも低効率)が80%以上、電力負荷が上限を超えることで瞬停は頻繁に発生している。2017年、インドでの自動車販売数は400万台を超えた。モディ首相は今後のEV政策を主導しているが、自動車のテールパイプから排出される排ガス(Tank to Wheel)ゼロ化を進めている。それだけに、発電から排ガス(Well to Wheel)の議論が進んでいなかった。ようやく、一部の間でWell to Wheelの議論が交わされるようになってきた程度だ。

 チェンナイにあるCECRIは、15年前からLIBの研究を推進してきた。正極材、負極材の研究開発をしつつ、角型、円筒型のLIBの試作評価まで実施中だ。

 IITのムンバイ校は、LIBのセル製造設備開発およびLIBの材料開発を推進中。2030年にLIBの製造が可能になるよう開発を進めているとのこと。安全性と15年の耐久性を実現目標に掲げている。正極材料はNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)三元系の8:1:1の比率で、日韓中が目指しているところまで検討中だ。

インド市場の拡大を目指すホンダを訪問

 1995年に設立されたホンダのインドの生産拠点ホンダカーズインディア・リミテッド(HCIL)を尋ねた。生産規模は2工場で年間30万台。そのうち、5%程度を南アフリカやミャンマー等に輸出中。現状7車種を生産、2019年には「シビック」を追加する。

 インド市場ではオートマ(AT)車よりもマニュアル(MT)車の方が人気とのこと。全長が4500mm以上のセダンが人気。ホンダの「シティ」は日本でいうとトヨタの「クラウン」並みのステータスとも。また、好まれるカラーは白が圧倒的で、シルバー、ベージュと続く。PM2.5で大気環境が悪いことから、汚れが目立つ黒は敬遠される。