ただし、米国復活を後押しする動きは収まっているわけではない。2018年のZEV規制で、トヨタとホンダが先頭を走ってきて他社が追随できてこなかったHVを対象車から除外したことも、そのような背景があるのであろう。

 2018年から25年にかけてZEV規制でゼロエミッション車比率が高まることで、EVとFCVへの取り組みは強化されるが、ここに来て勢いはEVに流れてきたと言える。これは、課題の種類や難度がFCVよりEVの方がハードルが低いからという見方もある。また一方では、FCVではトヨタとホンダが2強で群を抜いた格好になったことで、他社が敬遠したとも見てとれる。

FCVの課題は?

 FCVは、部品点数ではEVの比ではないほどのものがあり、また個々のデバイスや部品コストの高さでもハンディはある。水素燃料タンクに特別な炭素繊維を使用、燃料電池システムで水素酸素反応を加速させるため白金触媒を使用、エネルギー回生やパワーアシストのために二次電池の搭載が必要など、いずれもコストが高くなる要因だ。

 また水素燃料自体はゼロエミッションではなく、天然ガスからの水素生成の段階でCO2を排出している。究極的には燃料生成段階でのゼロエミッション化が求められる。

 さらに1基で約4億6000万円と言われる、水素ステーションの設置費用も課題だ。加えて水素燃料を高圧で貯蔵するための圧縮機も約1億4000万円。インフラの整備は力づくでできるものの、ステーション数の増大は巨額な費用がかかる。

 このような課題を考慮すれば、限定されたルートを走行するFCバスはFCVよりも現実的な解となる。水素ステーションも最小限で整えればよく、網羅的に設置しなければならないFCVへの対応とは規模が大きく異なる。もっとも、FCバスの価格は課題として残るものの、そこからコストダウンのシナリオを考え、FCVに応用拡大していくプロセスは価値がある。

 HVやPHVは消費者にとってはランニングコストとしての燃料費が還元され、商品としての魅力がある。EVは電力消費料金としてガソリン車と比較するとエネルギー代金でのメリットを受けられる。一方のFCVでは航続距離はガソリン車と比べそん色ないのだが、水素燃料代がガソリンより安くなるわけでもなく、消費者にとって直接見える価値が乏しい。先進性と言う意味での注目度は高いが、使い勝手を考えればガソリン車と同等レベルになるのは2030年以降とみるべきだろう。

 このようにFCVについて考えてみると、エコカーの競争は当面、PHVとEVを主体に進み、特にEVが主戦場と化す様相が見えつつある。トヨタとホンダがEV事業に本格参加することで競争は激化。後発組である2社と言えども、過去には先進電池搭載のEVを量産した実績があるので、先行組に追いつくのは時間の問題であろう。

 EVで日本の大手自動車メーカーが参入することで、欧米勢や韓国勢、中国勢には脅威になるはずだ。既存の電池事業戦略の強化、将来の革新電池研究の加速、脱レアアース技術の開発促進など、日本の強みがいかんなく発揮される戦略が組めるであろう。

 いずれ、エコカーの全領域で日本勢が主導権を握るシナリオが描かれつつあるように映る。