パナソニックは、グローバルに3本の大きな柱を築いている。一つは、既に米国ネバダ州で稼働している米テスラとの協業によるギガファクトリーであり、当面は年産35GWh程度まで拡大計画中だ。いずれは50GWh までへの更なる拡大を図る。これを基盤に、テスラのEVと連動したビジネスの展開に期待を寄せている。

 二つ目は、トヨタ自動車との連携である。トヨタとパナソニックとの合弁会社であるプライムアースEVエナジー(PEVE、1996年設立)の次に位置する第二ベンダーとしての立ち位置を確保し、ビジネスを推進している。

 同様に三つ目は、ホンダとの協業である。2009年にホンダは、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSY)と合弁会社ブルーエナジー(BE)を設立。BEは出力特性を要求する電動車であるハイブリッド車(HV)およびプラグインハイブリッド車(PHV)向けにLIBを供給してきた。

 エネルギー容量を重視するEVでは、現時点でBEの中では製造しないことから、ホンダは外部調達の戦略をとってきた。典型的な事例は2012年に市販した「フィット EV」で、ここには東芝製のSCiB(Super Charge ion Battery)を選択した。しかし、本格的な第二ベンダーとしては、容量型も出力型も供給できるパナソニックを2015年に採用した。

 それだけに、パナソニックは大きな3本柱を築いているが、ここに日産に対して本格的に供給することになれば、より安定な4本柱となり得る。加えてパナソニックは海外自動車メーカーとの連携も堅調である。例えば、HV用のニッケル水素電池の時代から供給してきた米フォード・モーター、独フォルクスワーゲン(VW)とも信頼関係を築いてきて、現在のLIB供給でも維持されている。

 今や中国が電動車市場として急成長している中、パナソニックは大連に車載用LIB工場を建設し稼働段階に入っている。ここから、トヨタやホンダへのLIB供給が始まることになり、市場拡大にリンクさせた事業戦略を推進中である。課題は、中国政府が認定する「バッテリー模範基準認証」、いわゆる「ホワイトリスト」への登録だ。中国では、 エコカーとして補助金を受けるためには、搭載した電池がホワイトリスト登録企業から供給されていることが義務付けられている。

 中国のNEV(New Energy Vehicle)規制が、当初の2018年から19年に延期されたことで、ホワイトリストに認定されるための時間が確保できたことにはなっている。トヨタとホンダは一日も早くパナソニックがリストへ登録されることを望んでいるはずだ。

 パナソニックのビジネスモデルに比べて、やや見劣りするのがGSYである。GSYも3本の柱を持ちつつ、ビジネスを展開中だ。一つは、三菱自動車、三菱商事とLIBの合弁会社リチウムエナジージャパン(LEJ、2007年設立)で、三菱自動車のEVやPHVに供給している。二つ目は先述したBEであり、三つ目は独ボッシュ、三菱商事と合弁化したリチウムエナジーアンドパワー(2014年設立)である。

 しかし、三菱自動車は燃費不正問題を契機に、電動車開発で日産自動車の傘下に入った。三菱自動車へのLIB供給がLEJにて拡大すればLEJの力が増すことになるが、三菱自動車がLEJを頼りがいのあるパートナーとは見ていない模様も伺える。日産自動車の今後の電池調達戦略の意向次第では、LEJに逆風が吹く可能性も否定できない。

 同様に、ホンダもBEを第一ベンダーとしてLIBを調達しているものの、ホンダのBEに対する期待感も、設立当初に比べると低下している模様だ。中国に進出したパナソニック、進出できていないGSYの事業戦略はBEにとっての逆風ともなっている。国内でのLIB供給も、パナソニックとの供給比率で真っ向からの競争になり、BEにとっては今後の真価が問われることになろう。

 リチウムエナジーアンドパワーも、ボッシュのティア1であるといった信頼力などをベースに、欧州勢の自動車各社に道が開けるかと思いきや、なかなか進展の兆しが見えておらず苦戦しているように映る。

 一方、東芝はスズキ、デンソーとの協業で国内では着実な事業を拡大中である。インド市場で大きな存在感を発揮しているスズキは、インドでの電動車ビジネスの早期展開を計画中だ。インド政府も脱ガソリン車、EVシフトを明言しており、そこに連動するビジネスモデルを進めている。2020年にインドにて3社が共同出資する形でLIB製造工場の建設を目指している。

 ただ、インド政府のEVシフトは酷い大気環境の改善と言う視点では必要かも知れないが、恒常的に続く停電が大きな社会問題としてのしかかる。インフラの整備で停電問題を解決しない限り、インド政府が目論むEVシフトの現実味は、残念ながら薄いと言わざるを得ない。