

9月13日の本コラム「爆走中国EV、電池業界に起きている異変」において、中国の電池業界について論考した。アクセス数がそれなりに多かったのは、それだけ中国市場でのエコカーおよび電池ビジネスが関心を呼んでいるということだろう。
それから約2カ月が経過した。わずか2カ月ではあるが、物事はいろいろ動いている。特に、中国市場におけるエコカーの動向と、そこにつながる電池業界では大きな変化があった。このような変化が起きている中、11月6~8日には中国・上海市で、中国自動車技術会(日本の自動車技術会に相当)主催の講演会と展示会「2018 CHINA-SAE CONGRESS & EXHIBITION」が開催された。筆者はこの中で、「新エネルギー車に関する技術と評価」のセッションに招かれ講演した。日本からは自動車技術会会長の坂本秀行氏(日産自動車副社長)、本田技研工業常務の三部敏宏氏が基調講演にあたった。
エコカーライセンスの効力は失効?
2016年に発効した中国政府の「エコカーライセンス」は、中国産業保護政策の一環として打ち出された。プラグインハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の3種類に限定したエコカーについて、生産~販売を許可するためのライセンスを与えるとの内容。既にエコカーで実績のあるBYDや上海汽車は対象外であったが、全20席のみにライセンスを与えるとした。
早速、北京汽車を始め、ローカルの自動車メーカー、そして新規参入組の部品メーカーが名を連ね、14席が早々に指定された。その後暫くは、落ち着いていた本ライセンスであるが、17年秋に独フォルクスワーゲン(VW)が中国の安徽江淮汽車(JAC)と合弁で立ち上げたJAC Volkswagenが15番目に登録された。それまでは外資各社による中国の合弁会社は最大2社までという制約があったが、VWとしてはエコカー生産を目的にした3社目を必要としていた。そこで、独メルケル首相のトップ外交により特例として3社目の合弁が認められた。と同時に、JAC Volkswagenが外資として初めてライセンス登録されたのである。
しかし、その後はどうだろう。16社目以降は話題として上っていないように映る。筆者はこれまで、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車のロビー活動について尋ねたが、各社はいずれも個別にロビー活動を展開しているとのことだった。しかし、現時点で日系各社が登録されているわけではない。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む