(写真=PIXTA)

 9月27日のコラム「中国製リチウム電池が信頼できない理由」には大きな関心を寄せて頂いた。今回は、今後展開される電動化シフトの中でも、特に超激戦区となる電気自動車(EV)に関して、起こり得る状況について考察したい。

自動車業界に迫る環境規制

自動車産業に課せられる各種の規制

 上記の表は2018年、およびそれ以降に発効する各種の環境規制を示す。この中で、米国ゼロエミッション自動車(ZEV)規制、そして19年に発効する中国新エネルギー車(NEV)規制で、ハイブリッド車(HV)はクレジットの対象外とされている。これは取りも直さず、HVではトヨタ自動車とホンダが2トップとして市場を席巻していることから、HVをクレジット対象としても恩恵を受けられない自動車各社が大半であることが、規制枠設定で影響したと考えるべきだ。

 そのような意味から、ZEV規制もNEV規制も合理性はやや欠けると感じられ、特にNEV規制では内燃機関を含まないEVに著しく偏重していることに疑問を感じる。中国の発電システムを低効率な石炭発電に委ねている現状では、CO2およびPM2.5の削減は、全くと言って良いほど期待できないのであるから。

 一方、欧州が進めるCO2規制は2021年から適用されるが、これは地球温暖化を抑止する政策としての合意事項である。そしてその規制を満たす自動車の手段は問わず、自動車各社の都合で設定できるものであり、合理性が高いといえよう。

日本勢がPHVで存在感

 そのような中、各種規制のクレジット枠に入るプラグインハイブリッド車(PHV)とEVの商品開発および技術開発に、自動車業界は大きな舵を切っている。

 PHVでは日本勢が新車攻勢で存在感を発揮している。2017年2月に発売したトヨタのプリウスPHVは12年のPHVと比較して、リチウムイオン電池(LIB)の搭載容量を2倍の8.8kWhまで増やし、EVモード走行で68.2kmを実現した。12年のPHVはEV走行では26.4kmのみだったことで消費者からの不満が噴出したこと、そしてEV走行距離に応じて得られるクレジットが拡大することで、新型でのEV走行を大きく伸ばした設計とした。

 ホンダが2013年に市場へ供給したアコードPHVでは、6.7kWhのLIB搭載でEV走行は37.6kmであった。それに対して18年7月に新発売したクラリティPHVでは17kWhのLIBを搭載し、何とEV走行を114.6kmにまで拡大した。限りなくEVに近いPHVであるが、プリウスPHVとの差別化を図る意味を込めた設計と映る。

 そして三菱自動車も2018年8月に新型アウトランダーPHVを発売した。LIBは13年の前モデルに比較して、容量を15%向上させ13.8kWhに設計変更した。アウトランダーPHVは、これまでグローバル累計販売が14万台を超えている人気の旗艦モデルとなっている。PHVでは日本勢各社の新商品を軸に、今後、グローバル競争が本格的になる。