歯止めには厳しさが必要

 ともかく、問題を起こさないようにすることが必要だ。2017年10月12日のコラムでは、その防止策として次の3点を述べた。

  1. まずは、産業界各社での棚卸が必要だ。他山の石として教訓にすべきことは大前提として、経営トップから現場社員に至るまで、法令遵守違反が企業にどのようなことをもたらすのかの教育の棚卸である。
  2. 2つ目としては、内部告発制度をつくること。経営トップの法令遵守意識の感度が低ければ、管理職もそして現場までも伝わりにくい。その結果として、都合の悪いことが言えない風土となる。こういった風土をつくらないためにも、ガバナンスの取り組みとして、経営陣へ直接提起できる内部告発制度が必要だ。告発した本人が不利益を受けないことはもちろん、むしろインセンティブを与えるくらいの経営方針をうたってほしい。
  3. 3つ目としては、法制度に関する国の監視体制の強化だ。抜き打ち調査を実施したり、報告基準を強化したりなどが必要だろう。しかし、それでも完全な歯止めとすることには限界もある。であれば、法令遵守に違反した際の国側からの罰則を数段厳しくすることが必要かもしれない。巨額なペナルティを課す、経営トップなどの主要経営陣の退陣を迫るなど、これまでにない施策が必要であろう。

 残念ながら、①と②の施策は効果をもたらしていないようだ。しかし、この二つは各企業単位で地道に取り組んでいく必要がある。法令違反の場合の罰則が緩い分、緊張感が伴っていないということであろう。

 国土交通省は8月10日からパブリックコメントを募集しており、9月に省令の自動車型式指定規則を改正するとのことだ。いずれにしても、このような違反に対しては企業責任として、人事の更迭刷新と罰則金を明確にして科すルールが必要なのではないだろうか。

 自動車各社に品質担当役員を登録させ、その責任を明確にして追及する仕組みの設定。問題が発生すれば更迭はもちろん、退任に追いやるくらいの責任体制だ。

 このような不正問題が生じれば、たとえば韓国サムスングループでは役員が責任を負わされ、即、退任の対象となる。日本の場合は、その判断に時間がかかり、事が大きくなって初めて人事問題にたどり着き、やがて社長の辞任などにつながるケースが散見される。より客観的で明確な人事刷新につながるプロセスが必要と思える。

 罰則金も客観的指標をもって対応させることが良さそうだ。例えば私案であるが、不正扱いとなった対象台数をN、不正扱いをしていた期間をT(月単位)、台当たりのペナルティ額をP(万円/台)として、以下のように、その積算を罰則金として算出するような制度の導入である。

罰則金 = N × T × P

 当該製品を保有するユーザーは非常に不快感を味わうことになる。中古車市場では価格下落につながることでもあり、このPはユーザーへの迷惑料とも言うべき意味合いで還元すべき罰則金と定義したい。Pの数値は違反の内容や程度によって随時設定するにしても、これまでにない新概念のペナルティである。

 他の部分の罰則金は、法令制度を策定して自動車業界を束ねてきた国土交通省への上納、および自動車業界全体に迷惑をかけることでの自動車工業会への上納のような形をとるのが適切ではないだろうか。

 更に加えて、トヨタで実施している燃費と排ガスの検査装置を自動化することは有効な手法であることが証明されていることから、他社でも人の手を介さないシステムの手法を導入することも実施すべきであろう。

 自動車に限らず、これまでも部材や建築などでも多くの問題や不正が明らかにされてきた。性能、品質、信頼性を付加価値として訴求してきた日本製品の神話が、あちこちで崩れつつあることを勘案すれば、厳罰という制度を一度かざした方が良さそうに見える。