そのトヨタやホンダでも、ZEV規制やNEV規制に対してクレジットをクリアするためにFCVの台数を増やせば増やすほど、経営を圧迫することになりかねない。一方、日産自動車・ダイムラー・フォード連合は、本年になって開発を凍結している(6月28日コラム「日産が開発凍結を宣言した燃料電池車の行方」参照)。

 このような実態の中で、現在の中国におけるFCV開発のレベルは、実用化した3社とは技術的な側面や知財面、ビジネスモデルで大きな乖離がある。今後の推移を考慮しても、中国ローカル自動車メーカーが本格的にFCV開発を進めるとは考え難い。とすれば結局、中国勢にとっての最大の可能性はEVという解となる。しかし、これは消去法的選択肢であり、EVの拡大に過度な期待を抱いている現実は、大きなリスクを抱えるものでもある。

補助金制度の行方とシナリオ

 前の表に記述してあるように、EVを中心とした補助金制度は2年後の2020年に終了する。昨年からは補助金を受けた規模に応じて、既に減額されつつある。最も補助金を受けたBYDが減額スピードを速められている。事実、補助金減額の進行と共に、中国でのEV販売にブレーキがかかっているのも事実だ。20年の補助金制度の行方によって、そのシナリオに応じた様々な現象が想定される。いずれにしても大きな問題を抱えることになろう。

補助金制度の行方と影響度
補助金制度の行方と影響度
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 補助金制度の終了による最悪のシナリオは、補助金頼みの中国ローカル自動車各社とつながる電池メーカー各社、および部材メーカー各社の大規模倒産または経営圧迫だ。このような事態になれば、中国政府が唱える「自動車強国」は破綻するだろう。

 2017年8月、日産傘下にあったオートモーティブエナジーサプライ(AESC)は、中国ファンド企業のGSRキャピタルに売却されることが決定。順調に進めば18年4月1日付けで、「AESCエナジーデバイス」として新スタートを切る予定であった。しかし、4月末まで延期され、その後6月末までへの延期となったが、GSRに出資する投資家の一部が200億円規模の資金確保ができなかったことで、GSR側の買収はキャンセルとなってしまった。

 投資家の資金調達が順調に進まなかった真相は明らかにされていないが、昨今の補助金減額が明らかにEVビジネスに大きな打撃を与えている現実から、20年以降のビジネスリスクを考慮したと捕らえても不思議ではない。

 一方、21年から新たな補助金制度を導入してEVシフトを再度支援することになれば、一時的なビジネス拡大にはつながる。しかし、補助金がなくても自立できるビジネスにならなければ、いずれは破綻する。

 中国の消費者がHVの価値に気が付き始めていることで、補助金なしでも自立できているトヨタとホンダのHVビジネスには更なる追い風が吹く。すなわち、1990年9月のZEV規制発効からの長期にわたり、全方位的に開発からビジネスを進めてきた日系勢には、中国ローカルメーカーとは真逆なビジネスチャンスになるだろう。

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