(写真:Imaginechina/アフロ)

 6月14日の本コラムにて、「車載電池のグローバル市場揺さぶるCATL旋風」を執筆した。その中で、「欧州での生産拠点構築を標榜している中国寧徳時代新能源科技(CATL)に対して、ドイツ政府はドイツ国内への生産拠点構築を働きかけているようだ。仮にCATLが相応の生産キャパをドイツで構えることになれば、CATLへのジャーマン3の期待感と依存度は急速に拡大する。これは、ポーランドやハンガリーに拠点を構え、あるいは構えようとしている韓国3トップにしてみても脅威になるだろう」と記述した。

CATLの欧州地固めの具現化

 その噂は真実となった。日本経済新聞の7月11日の報道によれば、中国の車載用リチウムイオン電池(LIB)のトップメーカーであるCATLが、海外初の生産工場を独チューリンゲン州に建設する。2017年には車載用電池でパナソニックを抜いて、世界最大手の電池メーカーとなった同社は、ドイツでの投資を1000億円を超える規模にするとのこと。

 7月9日に、CATLの首脳陣がチューリンゲン州で独州政府関係者と会って、生産工場建設に関する契約に対して正式調印したとされている。21年に稼働させ、22年には14GWhの生産キャパにするということだが、このキャパは17年のCATLの世界出荷実績12GWhを上回ることになるから、半端ない規模になる。新規雇用も600人とのこと。2020年におけるCATLの全生産キャパは、50GWhを予定している。

 確かに、独BMWからCATLが数千億円規模の電気自動車(EV)用LIBを受注したという事実、他にも独ダイムラー、独フォルクスワーゲン(VW)、仏PSAグループ、英ジャガー・ランドローバー(JLR)などとの供給契約を交わしてきた既成事実が背景にあることで、確度の高いビジネスモデルを構築した格好だ。

 欧州では、既にLIB生産拠点の稼働を開始した韓国LG化学、18年内に稼働を予定している韓国サムスンSDI、そして20年の稼働を目標としてハンガリーに850億円を投資する韓国SKイノベーションの韓国トップ3とCATLの4社が、欧州自動車各社からの受注争奪戦を繰り広げる舞台が整った格好になった。

BYDも強気の戦略を明らかに

 中国BYDの生産キャパ拡大の強気な戦略についても、6月28日の日本経済新聞は大きく取り上げた。その報道によれば、青海省西寧市で車載用LIBの新工場を稼働させ、2020年には生産キャパを現在の4倍に拡大する。これまでは、知財の障壁もあり、あくまで中国国内での自社内でのビジネスに留めていたが、今後は自社以外の自動車メーカーへの外販も開始し、先頭を走るCATLを追い上げる戦略に出る。

 同時にリチウム資源を含めて3000億円以上の投資という。青海省は塩湖が多く、中国国内のリチウム資源の約8割を占めることから、本社がある深センから北西2000kmも離れているこの地を中核拠点にする理由がある。