現在、自動車業界は世界的にみても歴史的転換点を迎えている。その両輪を担うのが電動化と自動運転だ。この二つの領域では、非常に技術進化が早く、それゆえ自動車産業界のパラダイムシフトが誘導されている。

 前者の電動化領域では、20年以上前から技術開発に真摯に取り組んできた日本の自動車業界がリードし続けている。しかし、2018年からはまた違った節目を迎える。それは、米国カリフォルニア州が発行したゼロエミッション自動車(ZEV)規制が次の段階を迎えること、さらには中国のNEV(New Energy Vehicle)規制が本格化することだ。これによって各社に大きな動きがあることは、これまでこのコラムでも紹介してきた。とりわけ、PHVとEVが一気呵成に市場に出回る状況となり、18年からは世界市場での電動化車両の勢力図に変化が生じる可能性を持つ。

自動運転での日本勢は勝てるか?

 では、もう一方の自動運転領域では、状況はどうだろう。この領域での日本勢といえば、自動車の電動化で世界をリードしてきたような優位性はない。それだけでなく、欧米勢に何とか遅れをとらないように追随していく体制となっている。自動運転での注目すべきポイントを以下に3つ示す。

1.目標設定で遅れをとる日本勢

 下記に自動運転のレベル1から4における定義と、おおよそ1年前に日本が目標としたロードマップを示す。当初、レベル4である完全自動運転は2025年に実現との目標を掲げて進めていた。

自動運転の定義と日本の目標

 しかし、昨年8月に米フォード・モーターや独フォルクスワーゲン(VW)、独BMWが立て続けに21年までに実用化を図ると発信し、業界に大きな影響を及ぼした。この時点で、日本勢は欧米勢の目標に対して4~5年遅れた格好となってしまった。その結果、目標を前倒しせざるを得ない状況に追い込まれた。

 トヨタ自動車が2020年に高速道路での完全自動運転を実現すると発信したことも、欧米勢の積極果敢な事業化戦略に感化されている部分が少なくないだろう。日本勢がそのように追随して行かなければ、主導権を取れないだけでなく、国際規格や国際標準の点で発言力がなくなり、開発段階から後続グループになってしまう。

2.レベル2を超えたメルセデス・ベンツの脅威

 2016年7月にフルモデルチェンジした独メルセデス・ベンツの旗艦機種Eクラスの運転制御と安全システムを以下に示す。「ドライブ・パイロット・システム」「アクティブ・レーン・チェンジング・アシスト」「アクティブ・エマージェンシー・ストップ・アシスト」の3つのシステムで安全性を高める機能を搭載した。

レベル3, 4の自動運転を予感させるメルセデス・ベンツ「Eクラス」

 追随走行機能や衝突防止強制ブレーキはもちろんのこと、直前の飛び出しに対しても事故を防止する制御システムは安心感を提供してくれる。自動車線変更も事故防止には大きく貢献する。

 中でも注目すべきは、世界で初めてドライバーの状態を察知したうえでの緊急停止機能を搭載したことである。ドライバーが運転中に失神するなどで運転が不能と察知した場合に、警告音を出しつつ車線維持をしながら減速して停止させるところまで実用化した。この機能は、先のレベル2を超えるレベル2.5の領域にあると考える。