以下の表は、中国政府が打ち出したエコカーライセンスに関して、現在までにライセンスを供与したメーカーをまとめたものだ。前回のコラムでも紹介したものだが、その時点では8社までが決まっていると記述した。その後に、エスペック内部で調査したところ、更に4社が加わり、現在は12社にまで至ったようである。このエコカーライセンスを取得できなければ、中国でのエコカーの生産と販売が許可されないため、各社の戦略に多大な影響を及ぼす規制である。

 中国政府がライセンスを供与するのを20社までと限定しており、社数が増えないとすればワールドワイドで対象から外れる自動車メーカーが続出することになる。ここでいうエコカーの定義は、PHV、EVおよび燃料電池車(FCV)に限定されており、トヨタ自動車とホンダが2強のハイブリッド車(HV)は対象から外れている。

 ホンダにとって、このエコカーライセンスの枠に滑り込むためには、18年からのエコカーカテゴリーの車種の生産と販売が求められる。その一環として、EVとPHVの早期前倒しを図るものと見え、したがってライセンス取得に関しても政府筋との合意がほぼとれているものと察する。

NEV規制で追い風を受けるCATLの存在感

 しかし、そこでのもう1つの課題は、これらの車種群に適用するLIBの調達先である。ローカルコンテンツの枠としてとらえれば、中国大連に建設したパナソニックからの現地調達というシナリオもあり得る。

 しかし、この場合、NEV規制に基づくエコカー補助金を受けることはかなわない。というのもエコカー補助金の対象となるためには、中国政府が既に打ち出している「バッテリー模範基準認証」を得ている電池メーカーの電池を搭載していることが前提となるからだ。現在は60社ほどの中国ローカルメーカーのみが認定されており、日韓を中心とする外資電池メーカーは設定されていない。また、中国政府としても模範基準認証の更なる追加拡大はしないという方針の模様で、条件が一層厳しくなったと言える。

 NEV規制を満たしつつ補助金優遇を受けることにするならば、模範基準認証を得ている中国ローカルメーカーのLIBを採用することが前提となる。その場合、中国ローカル自動車メーカーに留まらず、中国国外の自動車メーカーと協業協議をグローバルに展開できる電池メーカーは、中国福建省に本拠地を構えるCATLに限られる。

 CATLのLIBは他の中国電池メーカーが製造しているラミネートタイプではなく、角型金属缶タイプである。これは、ラミネートタイプよりも角型金属缶タイプの方が信頼性に優れるという考えに基づくものである。従来からホンダが適用している角型電池と同じタイプになるため、設計・開発から評価に至るまでホンダにとっては都合が良い。

 筆者は2016年12月中旬に、中国深圳で開催された中国電池連盟企業が参加する車載用電池のワークショップに招かれ講演した。講演終了後の懇親会の席に座ったところ、隣にはCATLのリーダー格が座した。話をしているうちに、そのリーダー格は筆者に「中国以外にも自動車各社に多くのサンプルを出して評価してもらっている。とある日系自動車メーカーの次のEV用に当社のLIBが候補となっている」とささやいた。