四重苦から五重苦への発展も?

 そしてさらには、追い打ちをかける状況が迫っている。それは、米国と中国政府が発した追加関税の対象品目に自動車が含まれていることだ。現在、テスラが中国市場で販売しているEVは全て米国製であるため、既に25%の輸入税が課せられている。さらなる関税の上乗せは、テスラの今後の輸出ビジネスに極めて大きな影響を及ぼすことになる。

 ブルームバーグのデータによれば、同社の中国市場における2017年の販売台数は1万4883台で、中国市場での全EVの3%程度、メーカーとしては10位。しかし、中国市場における同社の収益は全体の17%に相当したという。

 ならば、同社としては中国国内でのEV生産を早期に開始したいところだ。もともと、テスラは19年以降に中国生産工場への大規模な設備投資計画を発信していた。しかし、昨年から上海市政府と協議しているものの、現時点で投資は合意に至っていない。

 仮に合意が得られたとしても、この時点で同社が中国への投資を手がけることは得策ではない。というのも、米国での生産が全く軌道に乗っていないからだ。まずは、米国での生産計画を目標の週5000台に上げていくことが先決である。これ自体が大きな課題であることは、前回のコラムに記した通りである。それだけに、中国市場での販売ビジネスは今後も大きな難局を迎えることになり、「四重苦」にとどまらず、「五重苦」にまで発展する可能性さえある。

テクノフロンティアでのテスラの話題

 4月18日から20日まで、日本能率協会主催の「テクノフロンティア 2018」が幕張メッセで開催された。このイベントは、シンポジウムと展示会が同時に開催されているもので、シンポジウムは「磁気応用技術シンポジウム」「モータ技術シンポジウム」「電源システム技術シンポジウム」「バッテリー技術シンポジウム」「熱設計・対策技術シンポジウム」「EMC設計・対策技術シンポジウム」「センシング技術シンポジウム」「次世代自動車技術シンポジウム」の8分野で構成されている。

 最も長い歴史を持つのは「モータ技術シンポジウム」で、本年で第38回を迎えた。筆者が企画委員を務める「バッテリー技術シンポジウム」は、第26回を数えた。昨今の自動車の世界的な電動化の流れを受け、この2つのシンポジウムは昨年より参加者が急拡大した。「バッテリー技術シンポジウム」の参加者は約500人と、昨年より35%ほど多かった。

 自動車各社の電動化動向、電池業界の競争力、部材サプライチェーン、次世代革新電池の研究動向、自動車業界と電池業界からの直接的話題提供、そして電池の安全性や認証に関するビジネス動向など内容は多岐に亘った。