現代自動車は、4月以降もこのような状況が続くという深刻な予測がある。韓国系金融機関によれば、中小の協力企業が現代自動車不振の影響をまともに受け、韓国国内の銀行で調達した資金は数千億円になるとのこと。そのまま売り上げが低下すればキャッシュフローが悪化し危機的になると報じている。

 反面、現代自動車のライバルでもあるドイツ勢、特にVWにはこれが追い風となって逆に利益を得ているとも。全く対照的な構図になっている。

 このような状況を勘案すると、先に示した図の中でエコカーライセンスをVWが得ることは想像に難くない。一方、現代自動車はエコカーライセンス枠から外される可能性が色濃くなったと言えるようだ。

中国BYDの躍進と更なる事業拡大

 現代自動車の現状を、横目でにらみながら事業拡大を図っているのが中国のBYDである。日本経済新聞によると、3月29日にBYDが発表した2016年12月期決算では、純利益ベースで前の期比79%増の約820億円になったという。エコカー、すなわち電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の2016年の販売台数は9万6千台に及んだという。

 中国政府はエコカーの購入者に対して1台あたり約100万円を補助しているが、BYDが得た補助金は総額で1000億円規模となる。補助金制度に関しては先食いとなったことにより、17年以降は漸減する予測である。このため同社の17年のエコカー販売目標は14万~16万台としているという。

 さらにBYDは、欧州でのEV事業を拡大すると発表している。特にEVバスの受注が拡大していることから、4月4日にハンガリー工場を稼働させた。そして欧州2番目の工場として、フランスにもEVバスの新工場を建設するとのことで鼻息が荒い。約12億円を投資し、年間で200台のEVバスを生産する予定だ。

 先の図に示したエコカーライセンスを供与されているメーカーにBYDはまだ名を連ねていないが、組み込まれるのは時間の問題だろう。他の中国系自動車メーカーがエコカーライセンスを受けていく中で、現代自動車にとっては逆風ばかりが吹いている。

車載用電池業界への影響

 下の図は車載用リチウムイオン電池(LIB)の業界勢力図を示すものである。自動車の電動化と車載用電池に関する国際会議「AABC(Advanced Automotive Battery Conference)」においては、2016年の段階で業界トップ3が、パナソニック、韓LG化学、韓サムスンSDIというのが共通認識だった。その後、中国勢の躍進が目立つようになり、17年にはこの3社に加えてBYDと中国CATLが入り込んで、トップ5と言う表現に変わった。

 CATLは日増しに力を伸ばしている。台湾の金融情報サイトである「理財網」によれば、2020年に同社は生産高で50GWhの目標を掲げたとのこと。米テスラとパナソニックが合弁で建設したLIBの工場「ギガファクトリー」の生産高(35GWh)を超えるものだ。これはEV換算で200万台規模に相当する。20年の中国全体でのLIB生産キャパは121GWhと展望されており、40%強をCATLが占有する予測となっている。

 その背景には、車載用LIBでVWと独BMWから受注を獲得したことが挙げられる。GMとも交渉中で、さらにテスラとの協議も水面下で行っている模様である。