2018年以降のアップルの有機ELの適用においては、当面、日韓の競合となるであろうが、残念ながら2018年までの2年間で日本勢も鴻海・シャープも量産体制を取れる段階までには進まない。仮に量産体制が整ったとしても、顧客側の製品検証と評価が必要であるため、採用に間に合うわけではない。結局は、当面、韓国企業が有機ELパネルを供給することになるだろう。

 とすると、有機ELの本格的な日韓競争は2020年ころになると思われる。このとき、韓国勢に向かう日本のスタンスは、いかに低コスト化への研究開発を進めて、価格低減で攻勢をかけられるかという構図になるだろう。

 このビジネスモデルは、従来の日本が得意としていた先端技術をいち早く進め、早期に事業化し先行利得を享受してきたビジネスモデルとは全く逆のスタンスだ。いわゆる、業界リーダーではなく、フォロワーとしてのビジネスモデルであるから、容易なことではないことは暗黙の了解だ。

 もっとも、完全に出遅れた有機ELの危機感のみならず、日本で先端技術を構築して真っ先に事業化を進めた太陽電池やリチウムイオン電池でも、業界競争力を失いつつあることも同時に考えなければならない。

 筆者は、リチウムイオン電池に代わる革新型次世代電池の実現で日本の競争力を格段に高めようという、JST戦略的創造研究事業「先端的低炭素化技術開発 次世代蓄電池」のワーキングメンバーを務めている。

 電池産業での生き残りをかけた危機感に対し、アカデミズムがどこまで貢献できるかの重要な国家プロジェクトであり、産業界への貢献が期待されているものである。まだ競争力をある程度保っている電池分野でも、このような危機感のもとで国をあげて展開している。従って、競争力の段階にまで達していない有機EL事業が、日本にとって超難題であることは容易に想像できる。

人材の呼び戻しも

 世界に先駆け、日本勢が事業化を目的に進めてきた有機ELの研究開発であったが、各種経営判断や投資の躊躇などで韓国勢の後塵を拝したことは認めなければならない。ならば、どういうように追いつき追い越すかという戦略が求められる。

 エプソンやソニーなど、日系企業は世界に先駆け有機ELの開発を手掛けていた。しかし、各社が事業化を断念したことで活躍の舞台を失い、海外へと流れて行った技術陣は少なからずいる。ならば韓国での開発や事業化に携わりキャリアを積んだ日本人を、再度、日本へ引き戻す求心力のある人材獲得を行うことも必要ではないか。リチウムイオン電池や、半導体でも同じことが言えるはずだ。

 聞くところによると、日本の電池メーカーS社は退社して他社へ移籍した人材を、インセンティブを用意しながら呼び戻すプログラムを準備したという。従来からの定型的な人材確保だけではなく、こういう大胆な取り組みも日系企業には必要な時代になってきているのではないだろうか。

 シャープからも、希望を失った若手の優秀な人材が多く会社を離れたとも聞いている。鴻海の傘下でシャープが復活する兆しが見えるようになったら、シャープを去った人材を呼び戻すことも考えた方が良いのではないかとさえ思う。人材こそが企業の生命線であるはずだから。