逮捕されたサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2017年2月17日、韓国産業界およびサムスングループに大きな衝撃が走った。サムスングループの実質経営トップであるサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が贈賄容疑で逮捕された。朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人である崔順実(チェ・スンシル)被告に43億円ほどの賄賂を贈ったことが逮捕の理由とされている。

 サムスングループは、韓国GDP全体の約20%を叩き出す韓国最大の財閥企業であり、しかも就職人気度も韓国でトップであるがゆえに、今回の事件の影響度は計り知れないことは事実だろう。

サムスングループにおける影響度

 グループ内における影響については多岐に亘ると考えられている。大型投資案件の停滞、役員人事が5月に延期されたことでの経営判断の先送り、グループ内に漂う暗く重い空気による社員のモチベーション低下、スマホ「Galaxy Note7」の事故を受けての事業立て直し方案の遅れ、信頼とブランド力の低下など、大きな課題がのしかかる。

 政界とグループの癒着が問題視されているグループの司令塔「未来戦略室」は解体されることが決まった。同時に、政界との癒着を断つための意思表示として、韓国の経済団体「全国経済人連合会」の脱退も決断した。

 もっとも、未来戦略室はグループ内でも重要な役割を果たしてきた。これまでの代表的な実施案件を以下に示す。2009年12月のグループ社長団の人事では、当時のサムスンSDIの社長であった金淳沢(キム・スンテック)氏がグループの副会長に昇進した。そして未来戦略室の室長としてグループ経営の戦略を誘導した。それまでの「戦略企画室」から「未来戦略室」へ改称された時期であった。

未来戦略室による事業戦略策定

 2010年に入って、未来戦略室はグループ主要企業の役員を選抜し、2020年に向けての成長事業を策定した。それが、図の左側にある成長事業5テーマ、すなわち、車載用リチウムイオン電池(LIB)、太陽電池、LEDのエネルギー3テーマと、バイオ医薬と医療機器関連のヘルスケア2テーマであった。これらの成長事業に合計で1兆9000億円の投資を図って、20年時点での事業規模の目標は4兆円とした。