(写真=picture alliance/アフロ)

 昨年後半から、米テスラの「モデル3」が生産地獄に陥っている状態、すなわち当初の量産計画通りの生産台数には全く届かず四苦八苦している状態が報道されてきた。その中には、自動車業界の競争意識、電池業界のビジネス戦略、そして大きな投資を要求されてきた部材メーカーの悲喜こもごもが盛り込まれている。

 遡れば2017年6月に、テスラは中国の上海市に電気自動車(EV)の生産工場を建設する方向であることを報じた。その場合の条件としては現地企業との合弁が前提とされていたが、果たして順調に進んでいるのか。現在の米国における状況を考慮すれば現実性があまり感じられない。

 CEOのイーロン・マスク氏は、電動車、とりわけEVの最大市場となる中国で巨大工場を建設すると述べていた。2018年の生産キャパは中国巨大工場の稼働分も含め 全世界で年産台数50万台の計画を掲げた。現在の生産台数との乖離が大きいだけでなく、そもそもこのような大量のEVを本当に量産できるのか、根本的な問題があるのではないだろうか。

 テスラは17年3月に中国ネット大手のテンセントから5%の出資を受けている。そして、同年4月にマスク氏が訪中した際には汪洋副首相と会談したとされている。もともとテスラは14年に中国市場に参入した。その後の16年には15年の3倍以上の売上高を記録した。米国からの輸出のため、関税と輸送費が課せられる格好であったが一大ブームを巻き起こしたことになる。だが、一定数が市場に出回った後には飽和感が漂い、頭打ちになったことも記憶に新しい。

 そのような中で、米国からの輸出よりも中国での現地生産に踏み切れば相応のメリットが出ると言う試算は正しい。だが、そこには想定外の誤算があったようだ。それは、35万台のバックオーダーを抱えていると言いながらも、それに見合った量産技術と生産体制の整備が進んでいないままでの生産をしているような実態だ。すなわち、本格的な生産技術が伴っていないという欠陥である。

 米国ネバダ工場だけでの量産台数としては週5000台ペースの生産を計画してスタートしたのだが、生産地獄に至ったことで17年7月に発売開始した直後には、その生産計画を17年末までと一旦延期した。さらに1月に入ると達成時期を18年4~6月期までと2度目の延期をアナウンスした。

テスラが陥っている罠

 2017年の第3四半期こそ売上高は前年同期比で8%増加したと言うが、1~9月間の営業損失は売上高の11.5%に達したとのこと。象徴するように、17年12月上旬の日本経済新聞の夕刊には、「テスラ暗雲、冷める投資家」というタイトルの記事が掲載された。

 それによれば、17年7月に出荷を開始した量産型EV「モデル3」の生産が計画を大幅に下回っていることが株価に大きく影響したという。17年7月から9月期までの「モデル3」の生産台数は当初計画であった1300台の2割に留まり、260台しか生産できなかったとのこと。しかも納車先は社員または会社関係者にのみだったという。