日系自動車メーカーが考慮すべきシナリオ1

 最も望ましいシナリオは、エコカー20社の中に潜り込むことである。そのためには、あらゆる手段を講じてライセンスを取得するロビー活動が必須である。

 中国市場で日系自動車メーカーがエコカーを生産すると、中国にとってどんな良いことがあるのかを訴求することであろう。例えば、雇用創出、そして中国メーカーが日系から品質や性能面で学ぶ機会が多くなることで、ひいては中国の技術力と商品力が高まることにつながるといった口調が大切かと思う。

 日系ビッグ3社が既にこのようなロビー活動を進めているようではあるが、ライセンスを取得できるかどうかは未知数。予断を許さない懸念はつきまとう。

日系自動車メーカーが考慮すべきシナリオ2

 シナリオ2は20社の指定席に座れなかった場合だ。これは可及的避けたいシナリオであるのは言うまでもない。

 もともとエンジン技術の弱い中国であるから、政府はHVをエコカーの定義から外してきた。エコカーの定義にPHVを含めているものの、エンジン付きの車であるから中国ローカルメーカーがPHVで日系自動車を凌ぐレベルにはない。だからこそ、エンジンの無いEVに新規参入組も含めて集中している。

 このコラムでも何度か記述したが、現在の低質石炭を用いた火力発電を前提にした充電でEVを走らせたところで、PM2.5は悪化の方向に向かい環境改善にならないことは理屈通りである。

 消費者にとってみればEVの電気代はガソリンに比べ、安くて魅力はあるだろう。しかし走行距離の短さ、充電時間の長さ、補助金が外れれば高額な車両など、消費者をぐんと引き付ける要素は薄い。消費者目線と環境問題の社会的側面とで考えれば、当面はEVが王道を進むとは思えない。

 一方既に、トヨタもホンダもHVビジネスは中国において展開済みである。HVは燃費性能が良く、EVのデメリットは当てはまらないことで、消費者目線で考えれば中国市場だからこそ商品の魅力はある。

 両社が仮にエコカーライセンスを取得できない状況になっても、消費者目線でHVを市場で拡大するビジネスを強く展開することで存在感を出せることだろう。また、実利を取る消費者がHVに流れてくることを呼び込む力はあるだろう。

日韓電池業界にも嵐が吹き抜ける

 かように中国市場では、エコカーおよび電池産業が補助金政策を背景にバブル期にあることは承知の通りであるが、それを象徴するかのように2016年12月には2週にわたってセミナーが開催された。筆者はこの2週にわたるイベントに講演者として招かれた。

 中国市場の成長と拡大は勢いづいており、中国市場を無視した世界戦略は考えられないように映る。その一方で、一筋縄では進められない対応の難しさも課題としてのしかかっている。先述したエコメーカー制限もその一つであるが、電池業界にも大きな壁が立ちはだかる。