1月12日のコラム「2017年、エコカー開発は正念場を迎える」では、米国ゼロエミッション車(ZEV)規制を新たに2018年から強いられる、日韓欧の自動車メーカー各社の今後の取り組みについて記述した。

 環境規制の強化でエコカー市場は米国で激戦区となっていく。加えて中国でもエコカー市場は大きく拡大していくだけに、各社の積極的な戦略が進められつつある。

 このように、エコカー戦略で自動車業界は熾烈な競争が進行する一方で、関連する電池業界、素材・部材業界、評価試験機器業界、試験・認証業界においても競争力のあるビジネスモデルが求められることになる。

中国政策から見える自動車業界外資系の苦悩

 そのような折、1月12日付けの日本経済新聞に「中国エコカー生産に壁」という記事が掲載され、関連業界に大きな衝撃がもたらされた。ジーエス・ユアサコーポレーション(GSY)の依田誠会長が会長を務めている電池工業会の新年賀詞交換会が、同じ1月12日に芝公園にあるホテルで開催された。会場では、このニュースに戸惑う関係者の声をあちこちで耳にした。

 それは、いわゆる「2018年問題」とされている中国におけるエコカーの生産制限に関するものである。政府からライセンスを受けた自動車メーカーのみが生産できると言う政策である。記事では、エコカー販売も厳しさを増すという内容にも触れられており、自動車業界には大きな厚い壁となっている。

 現在の計画では既に120社ほどある中国内のエコカーメーカーを、2018年には20社程度まで絞り込むという。とは言いながら、既に8社にライセンスが供与されているというスピード感をもった政策だ。残りの指定席は12席という中、現在エコカー生産で第1位のBYDや上海汽車などは当然ライセンスを受けるようになるであろう。

 そういう中で、独フォルクスワーゲン(VW)はしたたかで、3社目となる中国企業との合弁会社を設立するという異例の対応を図った。合弁会社は2社までという取り決めがある中、中国政府も例外的措置として認めるもようだ。もともと、2015年に起きた排ガス不正事件後でも、中国市場におけるVWの販売への影響は限られたものだった。

 それだけ中国におけるVWの存在感が大きいことを意味している。外資ではあるがエコカーメーカーとしてVWを認めないわけにはいかないのであろう。

 一方、米国勢ではゼネラルモーターズ(GM)が中国市場でのビジネスを着実に展開してきた。このことから、GMもライセンスを受けることになるものと予測する。

 日本勢だが、中国国内で生産しているトヨタ自動車、日産自動車、ホンダは、いずれもライセンスを供与されていない。この先、どういう展開になるのか、仮にエコカーメーカーとして選定されなければ大きなビジネスを失うことになる可能性がある。

 懸念されるのは、中国市場でトヨタもホンダもハイブリッド車(HV)の生産はしているもののプラグインハイブリッド車(PHV)も電気自動車(EV)も生産してはおらず、これからの計画下にあることだ。中国政府が認めているエコカーはEV、PHV、燃料電池車(FCV)であるがゆえに、両社のビジネスはこの範疇のエコカーを生産していないことが問題である。

 まして、エコカーとしての商品の魅力が乏しいうえに、中韓の外交政治情勢が悪影響をおよぼす韓国現代自動車は分が悪い。いずれにしても、日韓自動車メーカー各社にとっては戦々恐々という状況にある。