騒動の収束に逆効果なコメント

 誰もが問題の収束を目的にコメントしているわけではなく、またそれぞれがあくまで自由に発言できることを前提とした上で、もし仮に、役割上、あるいは心情的に、問題を収束させるべく、自らがコメントしようとした際、どんなものが効果的で、どんなものが逆効果なのかを考えてみることにしましょう。

 まずは今回実際に見られた「逆効果」のコメント例です。これは、さらに議論を活発化させ、騒動を盛り上げる効果のあるコメントです。

・「実績を見れば実力は明らかだ」「彼ほどの実力者は数少ない」
 → 不倫を絶対悪と見なす人や話の矮小化を問題視する人の間で大きな反発が起きる

・「対応が見事だ」
 → 業界臭い。クライシスの対応は致命傷を避ける選択がベストではあるが、一般の感覚で見ればあちこち違和感があるから納得が得られにくい。このようにコメントするとしても時間が経ってからの方がいい

・「彼の場合は特別だ」
 → 仲間内の論理でしかない

・「彼にとっての不倫は、一般の不倫と意味が違う」
 → 謎理論でしかない

・「騒ぎ過ぎ/メディアが異常」
 → メディアが大きく報じるのは注目されテーマだからで、メディアも一般人もバカにしていることになる。騒動をバカにする人に騒動は収められない

・「彼だけではないだろう」
 → 今問題になっていることに向き合ったコメントではない

・「他人の不倫問題には何の興味も感想もないが」
 → 本来こんな程度の低い話題を扱うような自分ではないが、とでも言うような高慢な印象を与え、発信者に対する嫌悪感を生む

・「彼は昔から変わらない」
 → フォローになっていない

 スキャンダルに対する世の中のリアクションは感情的・衝動的なものがほとんどなので、論理的な説明で擁護したり、世の中を説得しようとしても反発につながりやすいことに注意が必要です。

驚きの事実を基にして情報発信する

 ここで最初の動画を紹介しましょう。

 これは、アウシュビッツ強制収容所が世界のメディアで、「ポーランドの強制収容所」と国際的に報じられ続けていることを問題視したポーランドの人たちが、世界の人たちに向けて、「ポーランドの強制収容所」ではなく「ポーランドの地にあったナチス・ドイツの強制収容所」だったと訴え、悲しい歴史的な事実を伝えるとともに、人々の記憶を正しく塗り替えようと作った専用アプリを紹介するものです。

REMEMBER App. Correcting Memory Errors.

 アウシュビッツ強制収容所は世界的にも有名ですが、ポーランドの国土はそこに侵略してきたナチス・ドイツによって蹂躙され、実に600万人もの国民が殺されたにもかかわらず、そのナチス・ドイツが設置・運営したものが「ポーランドの強制収容所」と呼ばれ続け、メディアによってポーランドがあたかもむごいことをしたかのようなイメージを巻き散らかされて迷惑している、という事実を知っている人はそれほど多くはありません。

 こういうものを「驚きの事実(Surprising Facts)」と言います。

 「驚きの事実」を伝えることによって、見る人に新たな観点を与え、それまでに得た情報の解釈や見方が変わります。

 この「驚きの事実」をうまく活用することが、認識やイメージ、あるいは騒動の流れを変える時に有効なコミュニケーションのアプローチです。