ネタの大きさを見誤った初動対応

 3月24日発売の週刊新潮で自らの不倫を報じられた乙武氏は、週刊誌が発売される朝に夫婦揃って謝罪文を公開するスピード対応を取りました。これは政界関係者や乙武氏らが、出馬や今後の活動に対する影響を最小限に抑えるために取った対策とされていて、結果として夫人の謝罪に批判が噴出し、過剰演出と見られてシナリオは裏目に出た、というのが多くの見方のようです。

 一方で、不祥事やスキャンダル報道への対応を長らくウォッチしてきた私には、それとは別に、当初から気になる動きがありました。

 「これはプロの対応だ」と、早い時点からその対策自体への賛辞が広まったことです。

 ある人は、対応のスピードが見事と言い、ある人は謝罪文の抜け目なさを褒め、またある人は謝罪文を公開したサイトの利用サーバーについて賞賛していました。

 それを見て、強い業界臭を感じた、というのが率直な感想でした。

 もちろん、皆がグルになって工作していたと言う気もありませんし、実際のところそういう訳でもなさそうです。

 ただ、こういう反応が見られる時は、反発が起きやすい。

 「不倫して、対応を褒められるって何?」と、一般の感覚では、意味が分からないからです。

 案の定、2~3日経って、「妻にも不倫の責任があるとすれば鎮火できると考える人が炎上対策してるんだ」などと批判の声が大きくなりました。

 また一方で、今回、メディアに近い仕事をしている人たちからは、「この乙武叩きのメディア報道は異常だ」という声を何度も聞きました。直接彼のことを知る人は、「昔から何も変わっていない」「前からああだった」などと言い、スキャンダル続きで食傷気味だったことも加えて、そのニュースバリューを感じにくくなっているようです。

 しかし、こんなに条件の揃ったネタはなかなかありません。

  • 有名人
  • いよいよ出馬かという注目のタイミング
  • イメージを打ち砕くスキャンダル

 多くの人の目を引く特大のネタなのです。

 にも関わらず、記者会見も開かずにメッセージ1つで終わりにしようとした。しかも夫婦の問題だから夫婦で足並みを揃えてという、いかにも政治家がやりそうな方法によって。

 周囲が大した問題ではない、という態度を取ればとるほど、世間の反発心が燃え広がるものと見られます。

 少なくとも、このネタのインパクトの大きさを感じられないと、うまくフォローするのは難しいでしょう。