果たして伊勢神宮は旬のキーワードか?

 三重県に話を戻します。

 そんな発想で考えた時に、「伊勢神宮」は、果たして世間の関心事なのか、海外も含めて多くの人が詳しく知りたいと思われているのか。

 おそらく三重県にとって、伊勢神宮は重要な資産であり、定番キーワードかもしれませんが、旬のキーワードではない。ニュースのキーワードではないのです。

 見聞きする人々にとってニュースでなければ注目されず、話題にもなりません。ニュースとして伝わらなければ、誰にとっても新しい三重を発見するきっかけにはならないのです。

 では代わりに何か。私が注目するのは、今ならダイオウグソクムシです。

 鳥羽水族館にいる深海生物ダイオウグソクムシは、二月に国内で初めて脱皮が確認されました(こちら)(映像(こちら))。ひょっとすると、脱皮が観察されたのは、世界でも初めてかもしれないと言います。

 世界で初めてかもしれないものが、今行けば、伊勢志摩にあるわけです。

 知らなかった事実、新たなニュースを知ることで、人は認識を新たにし、行動が喚起されます。

 ダイオウグソクムシは見た目がグロテスクで初めて見た人にもインパクト抜群ですし、ニュースのキーワードでもある。写真を撮りに行って、ネットでシェアしたくなる。素材としては最高です。

 もちろん、ダイオウグソクムシが三重県の象徴とは言えないでしょうが、短期的には伊勢神宮よりも広く話題を喚起できる可能性が高い(と私は思う)。

 それでもなお言葉の上で伊勢神宮が外せないのだとしたら、知事がダイオウグソクムシの被り物をかぶって出てくるくらいのことをすれば、話の内容はオーソドックスでも、「あれは何だ!」と話題になるかもしれない。

 それをきっかけに、もともと伊勢神宮が意識にある人にも伊勢志摩の話題を伝えることができる。「スムーズ」に三重県の関連サイトにたどり着いてもらえれば、意識していなかった人にも伊勢志摩に行くと伊勢神宮という名所もあることを意識できる、という次の流れが作りやすくなります。

 導線がスムーズでないものは、「おもてなし」とは言えません。

 冒頭の動画は、実は三重県民会議のサミットサイトには埋め込まれていますが、県庁のサイトからは直接行けません。サミットサイトには地元の降雨量のグラフはあるのに、伊勢志摩までどうやって行けばいいのかという分かりやすい地図もない。YouTube上で動画を見つけた人にはサミットの詳しい情報が分からない。表玄関から入ってきた人以外は「おもてなし対象外」と言わんばかりで、悲しい扱いを感じます。

 と、厳しく書いて来ましたが、同じような情報発信をしている自治体は決して少なくありません。サミットの時期には、あちこちの県で関係閣僚会合が予定されていますし、オリンピックに向けて準備されているところも多いと思います。

 ぜひ、不慣れな人、たまたま見かけた人でも関心を持ち、深く知りたくなる、現地に訪問しようという気持ちを後押しするような情報発信をお願いしたいと思います。

 せっかくの機会です。ぜひ会場でも、ネット上でも、スムーズに、おもてなしを。

 ネット動画はアイデアの宝庫。それでは、また金曜日にお会いしましょう。