世間の関心に応える

 ここで、アピールする内容面について考えてみることにしましょう。

 冒頭の動画では、地元の「固有名詞」として、唯一、「伊勢神宮」が出てきました。

 おそらく三重県が国際的にも国内的にも最大の資産として位置づけているのが、伊勢神宮ということになるのだと思います。

 そしてその考えは極めて常識的であり、反対の声も少ないのでしょう。

 一方で、改めて今、PRという観点から世間に発信するメッセージとして何を題材に選ぶべきかを考えた時には、別の選択肢が効果的かもしれないという発想を持つことが重要です。

 その参考になりそうな動画がありますので、紹介します。

#CALLBRUSSELS

 これは、昨年テロの脅威を繰り返し国際メディアに報じられ、「危険なイメージ」が広がっているベルギー・ブリュッセルで実施したキャンペーン動画です。「ブリュッセルの今日の生活はどうですか?」とブリュッセルにいる誰かに聞く、というのがストーリーです。ネット上から、現地に設置した電話につなげられるようにしたのだそうです。

 ブリュッセルの広場に設置した電話が、突然鳴り始めます。電話の上の看板には「電話に出てください」と大きな文字で書いてある。

 通りがかりのブリュッセル市民がその電話に出ると、外国からの通話だと分かります。

 「こんにちは。英語、話しますか?」

 はい。

 「あなたは、銃や爆弾で戦っているのを見かけたことがありますか?」

 ノーーーー。(笑い声) 冗談でしょう、まさかー。

 あなたは、どちらの方ですか? と聞くと、

 ポルトガル、ブラジル、イギリス、ドイツなどあちこちから電話がかかっている様子が映し出されています。

 「そちらは安全なんですか? それとも・・・」

 もちろんよ、とても安全よ。

 「インターネットで読んだんだけど、今、そっちに行くのは危険だって」

 そんなウソを広めているのはメディアだから。実際には何も起きてないですよ。CNNとかBBCが言ってることなんて信じちゃダメですよ。本当にいい地区なんですよ。みんな笑顔でリラックスしてるしね。

 女の子たちも可愛いんですよ。ワッフルあるしね。ワッフルの美味しさには抵抗できないから。

 ・・・と、そんなやりとりが繰り広げられている動画です。

 多くの人に、話を聞いてもらうには、まず世間が持つ問いに答えること、関心に応えることが重要です。

 そんな観点から、ベルギーと言えば一般にイメージされるムール貝やビール、ワッフルではなく、あるいはフランダースの犬ではなく、彼らはテロをメインに選んだ。

 まずテロで危険な街という世間のイメージに対して、「安全である」というメッセージを伝えようと考えてキャンペーン動画を作ったわけです。