お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるでしょう。
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 2017年は日本の株式市場にとって「中吉」の年になると見ています。理由はこの後、順に述べていきます。

 米国のニュース雑誌「TIME」は2016年の顔(最も影響を与えた人物)に米国のドナルド・トランプ次期大統領を選びました。このように2016年はトランプ氏の年でしたが、いよいよ大統領として始動する2017年は2016年以上にトランプ氏の年となります。

 市場関係者は2016年、トランプ氏の動向に一喜一憂しながらも、トランプ氏の実像が分からないため、結局は自分に都合のよいように解釈しました。それが、トランプ氏が勝利したにもかかわらず日米の株価が上昇した背景の1つです。

 しかし、2017年になってトランプ政権が始動すれば、市場関係者は否応なく、トランプ氏の実像と向き合わねばなりません。この「トランプ大統領とどう付き合うか」が2017年の最大の課題でしょう。ここから“トランプ大統領”との付き合い方について考えていきます。まず初めに政策を見ます。

インフラ投資や減税は景気にプラス

 表はトランプ氏が選挙戦で掲げた主な政策をまとめたものです。景気や株式市場にプラスと思われるもの、マイナスと思われるもの、それぞれあります。プラスと思われるのはインフラ投資や所得税・法人税減税、(表にはありませんが)規制緩和。逆にマイナスと思われるのは、保護主義的な通商政策や移民に対する規制などです。

(図表3)ドナルド・トランプ新米大統領の政策
  トランプ氏
経済 成長率を3.5%に引上げ、10年で2500万人の雇用創出
インフラに5500億ドル(クリントン氏の2倍)を投資
イエレンFRB議長の再任に反対
財政/税制 連邦法人税率を35%から15%に引下げ。一方企業の海外所得に課税する。
所得税を簡素化し、最高税率を39.6%から33%に引下げ
内政 銃規制強化に反対
オバマケアは撤廃(一部継続?)
最低賃金を時給10ドルに引上げ
外交/安全保障 米国は世界の警察官ではありえない
日韓などに対し、米軍駐留の費用負担を要求
イランとの核開発合意は破棄
移民/難民/テロ メキシコ国境に壁を建設(一部フェンス?)、不法移民は強制送還、難民審査を厳格化
通商政策 「自由」貿易でなく「公平」な貿易協定を
米労働者を害する貿易協定には反対
TPPから撤退、NAFTAは再交渉
環境対策 温暖化対策「パリ協定」から離脱、石油採掘規制撤廃。火力発電所のCO2排出規制を撤廃
対日/対中政策 日米安保条約は「不公平」と発言、日本の核武装を容認
中国は「為替操作国」と批判

出所:日本経済新聞、読売新聞など各種資料より大和住銀投信投資顧問作成

 道路や橋など米国のインフラが老朽化しているのは誰もが認めるところです。バラク・オバマ大統領も大規模なインフラ整備計画を打ち出していました。規模はともかく、トランプ政権でインフラ投資が実現する可能性は高いでしょう。

 減税も実現する可能性が高い施策だと思われます。レーガノミクス減税、ブッシュ(子)減税と歴代の共和党政権が大規模な減税策を実行したように、減税は共和党のDNAと言えます。その共和党が上下院ともに多数を占めたこともあり、実現する可能性が高いと見ています。

 ただしインフラ投資も減税もトランプ氏が主張する規模で実行した場合、財政赤字が膨らんで金利が上昇、却って景気の足を引っ張る恐れがあります。おそらく議会がブレーキをかけることになるので、どの程度の規模(金額)で実現するかがポイントです。