買うべきか、買わざるべきか

 このように考えると、目標達成に固執することには弊害が多く、期間や金額にこだわらない姿勢が望ましいといえそうです。そもそも日経平均が2万円を回復し、足元の日本株が他市場を上回る強さを見せている中で、日銀が5.7兆円ものETFを買う理由を探す方が難しそうです。日銀のやるべきことは目標達成に固執することでなく、これを機に買入れ額の縮小も含めて、ETF購入のあり方や位置づけを見直すことだと思います。

 黒田東彦日銀総裁は10月31日の金融政策決定会合後の記者会見で年間6兆円(設備・人材投資ETFを含む)のETF購入の期間について「特定の時期を定めていない」と発言しました。これは、先ほど述べた「期間や金額にこだわらない姿勢」を示すものであり、評価できると考えています。

 この発言で、とりあえず日銀は12月末、あるいは来年3月末までに目標を達成しなくても、済むようになったと解釈しています。今後ETF購入については、今まで同様に、株式市場が弱い時に購入するやり方を続け、タイミングを見て、国債に続いて実質テーパリングに移行することになると思います。その場合、一時的には株式市場の悪材料になると思いますが、大きな影響はないと見ています。時々誤解している人を見ますが、テーパリングは買入れ規模の縮小であって、売却ではありません。

 また海外の投資家、特に年金や、ソブリンウェルス・ファンドなど長期の投資家のあいだでは、ガバナンスやマーケットメカニズムなどの観点から、日銀のETF購入に批判的な投資家の方が多いと思います。今年8月に米国出張した際にも面談した投資家のほとんどは日銀のETF購入に批判的でした。テーパリングが開始されれば、こうした投資家は逆に日本株を買ってくると思います。これもテーパリングの悪影響は一時的なものにとどまると考える理由です。