専門家の獲得議席予測も慎重

 専門家の予測も同様に慎重です。週刊朝日10月6日号に掲載された予測では自民党の議席については、小林氏が27議席減、松田氏が18議席減といずれも小幅減を見込んでいました。ただ、松田氏は小池氏の動きや野党共闘の効果次第では野党の議席が増える可能性があるとの条件付きです。

 もう一人この記事にコメントを寄せたジャーナリストの野上忠興氏は「野党共闘や小池新党の姿が明確でない」として議席数の明言を避けましたが、自民の獲得議席については「30から50減らす可能性がある」と述べています。このように専門家の見方も決して与党楽勝というものではありませんでした。なおこの3氏はいずれも野党共闘が成立するかどうかが勝敗のカギと指摘しています。

 情勢調査が40以上の議席減の可能性を示したにもかかわらず、安倍氏は解散・総選挙に踏み切りました。40以上議席を減らしても問題ないと思ったのかもしれませんが、もしそうならその判断は甘いと言わざるを得ないでしょう

 先日のドイツの総選挙でメルケル首相率いる与党は議席を65減らしましたが、責任を問う声はありませんでした。これは任期満了に伴う選挙で、やらざるを得ないものだったからです。

 しかし、今回の衆院選は違います。任期を1年以上残しながらも自分からやらなくて済む総選挙を仕掛け、それで議席を40以上も失えば、過半数を維持しても、安倍氏の責任を追及する声は、必ず出てくると思います。実際、この日経の記事によれば菅義偉官房長官は、大幅に議席を減らせば党内の批判勢力が黙っていないと懸念し、選挙には慎重だったとのことですが、それにもかかわらず安倍氏は解散に踏み切りました。このように考えると、安倍氏にとっての党内の不満を抑えるために必要な実質的な勝敗ラインは「過半数」より高いことになります。

 ここ数日で小池氏が希望の党の党首として前面に立って衆院選を戦うことになり、前原代表が民進党を実質解党して希望の党に合流するという奇手を放って野党共闘を前進させました。それも想定されていた民主・共産でなく、より強力な希望・民進です。状況は安倍氏にとって一段と厳しくなったといえるでしょう。