世界の主要15ヵ国(地域)について2005~15年にかけての通貨と株価指数の関係を調べたところ、相関係数がある程度マイナス(両者が逆相関)なのは、日本、スイス、米国の3ヵ国だけで、ほぼゼロの中国を除けば、他は全てプラスです。日本の「自国通貨高=株安」を間違いというかどうかはともかく、少なくとも日本は例外であり、世界的には「自国通貨高=株高」が一般的であることは、市場関係者であれば認識しておくべきだと思います。

(図表4)主要通貨と株価指数の相関係数(月次、前年同月比、2005-2015年)
出所:ブルームバーグ、株価指数は各国の代表的な指数、スイスフランと英ポンドは対ユーロレート、米国はドル指数、その他は対ドルレートを使用

 一方、日本同様に通貨と株価が逆相関の関係にあるのがスイスです。ただし自国通貨高を抑制するための為替管理政策を中央銀行が開始した2011年以降は、スイスフランが小幅の動きに止まっているため、逆相関の関係が薄れつつあります。

(図表5)スイスフランの対ユーロレートとSMI(月次、2005-15年)
出所:ブルームバーグより大和住銀投信投資顧問作成

「金利」「世界経済」、そして「リスク選好」

 ここからは、「自国通貨高=株高」の国と「自国通貨高=株安」の国があるメカニズムについて考えてみます。キーワードは「金利」「世界経済」、そして「リスク選好」の3つです。

 「自国通貨高=株安」の日本、スイス、米国に共通するのは金利が低いことです。そこで便宜上、この3ヵ国を低金利国、その他の国を高金利国と呼ぶこととします。低金利国では「自国通貨高=株安」、高金利国では「自国通貨高=株高」になるメカニズムは、図表6のフローチャートのようなものです。

(図表6)景気・リスク許容度と株式・通貨の関係
出所:大和住銀投信投資顧問

 世界的に景気が好調な時は、世界的に企業業績は拡大、投資家のリスク許容度も高まって、株式市場は上昇します。ここまでは低金利国も高金利国も同じです。

 しかし、為替市場では事情が異なります。投資家のリスク許容度が高まれば、資金は日本のような低金利国からブラジルのような高金利国に移動します。その結果、低金利国では「自国通貨安=株高」、高金利国では「自国通貨高=株高」となります。

 世界経済が不調な時はこの逆です。企業業績は悪化、投資家のリスク許容度は低下して、株式市場は世界的に下落します。一方、為替市場では、低金利国から高金利国に移動していた資金が元に戻ろうとします。そのため、低金利国では「自国通貨高=株安」、高金利国では「自国通貨安=株安」となります。

 以上が、低金利国では「自国通貨高=株安」、高金利国では「自国通貨高=株高」となるメカニズムです。