日本では「業績や株価は為替次第」が常識です。現在の安倍晋三政権にとっても、為替レートは重要な政策テーマになっています。2012年末の政権発足から15年半ばにかけては1ドル=125円まで円安が進み称賛を浴びました。しかしその後は円高に転換、足元は1ドル=100円割れ寸前となり、金融市場は「大変だ、大変だ」の大合唱です。
しかし、実際には円高が業績や株式に与える影響はそれ程大きくありません。悪影響は誇張されています。それだけではありません。日本では常識となっている「自国通貨高=株安」は世界的には間違いといってよいものです。円高に対するこうした誤った思い込みは、市場や政策に大きな悪影響を与えています。今回と次回は円高に対する誤った思い込みとその影響について説明します。
世界の常識は「自国通貨高=株高」
まず、なぜ「通貨高=株高」が間違いなのか。理由は簡単です。世界的には「通貨高=株高」の国が圧倒的に多いためです。
まず日本について東証株価指数(TOPIX)と円の対ドルレートの関係を見てみます。2005年以降の両者の動きを見ると、2005年や2013~14年のように円安の時は株高。2007~08年のように円高の時は株安となっています。円と日本株は逆相関の関係にあり、日本については「自国通貨安=株高」といえそうです。
しかし、日本以外ではそうではありません。例えば韓国です。日本同様に輸出企業が多いとのイメージなので、ウォン高は韓国株にマイナスと考えてしまいそうですが、事実は逆です。ウォンと韓国株は強い順相関の関係にあります。
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