「戦うトランプ」のイメージ発信がどこまで続くか(写真=ロイター/アフロ)

 3月にトランプ米大統領が鉄鋼・アルミニウム製品輸入への追加関税を発動させることによりいわゆる「貿易戦争」が始まりました。状況が混沌とする中で、米国の劣勢も見えてきました。今回の「政治と市場の正しい見方」は貿易戦争を取り上げ、これまでの経緯を振り返ってみます。

 貿易戦争を始めるにあたってのトランプ氏の戦略は、鉄鋼・アルミニウム関税に関するもの(以下、鉄・アルミ戦線)と、対中国の制裁関税に関するもの(以下、中国戦線)の2正面作戦でした。ただどちらの戦線においても基本的な方針は関税を人質に相手から譲歩を引き出すという安易なもので、実態として戦略といえるようなものはなかったと思われます。

 まず鉄・アルミ戦線について見てみます。鉄・アルミ戦線の狙いには、トランプ氏のコア支持層である鉄鋼・アルミニウム産業の保護もあったでしょうが、それ以上に重要なのは前述のように関税を人質に貿易相手国に譲歩を迫ることでした。この場合の譲歩は、米国に有利な形での通商条約の締結や改定ということになりますが、中でもトランプ氏が重視したのは、政権発足以来続いている北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉で成果を上げることです。