もちろん安倍氏としても考えがあってスケジュールの前倒しや9条改正を指示したのであり、簡単に撤回できるものではないでしょう。また撤回することにより求心力が低下してしまうこともあり得ます。最終的に安倍氏がどう判断するかわかりませんが、この憲法改正案の取り扱いが、今後の政治の動きを占う上でのカギを握ることになると考えています。

低空飛行シナリオの可能性は低い

 安倍氏が言動を改めないため支持率は低空飛行を続けますが、安倍降ろしがないため早期退陣はないというのが、低空飛行シナリオです。支持率が低いため、憲法改正は断念せざるを得ないでしょう。また解散総選挙も見送られると思います。

 自民党の総裁選まで政権にしがみつくようなイメージですが、実際には安倍氏が政権にしがみつくようなことは考えられません。このシナリオの可能性はほとんどないと見ています。可能性があるのはa.とb.で、どちらになるかは、憲法改正案の取り扱い次第との見方です。

 最後に株式市場への影響について検討します。持ち直しシナリオの場合はこれまでと変わりないでしょう。低空飛行シナリオの可能性は低いので、早期退陣シナリオの場合の影響についてのみ考えてみます。

 2012年末に第2次安倍政権が発足して以来、株式市場は上昇を続けてきたので、安倍氏が退陣すれば投資家はいったん日本株を売ると思われます。ただし、すぐさま景気や業績が悪化するわけではないので、この売りによる下落は一時的なものに止まると思います。いったん売った後は様子見といったスタンスでしょう。

 為替レートについても同様のことが言えます。安倍氏の退陣でいったんは円高に振れると思いますが、ただちに金融政策が変更されるわけではないので、一時的な円高に止まるでしょう。

 安倍氏は成長重視派ですが、次期首相が財政重視派になる可能性はあります。その場合、2019年10月の消費税率引き上げは予定通り実施の可能性が高まりますが、まだ先のことなので、ただちに市場に影響を与えることはないでしょう。