カギを握る憲法改正の取り扱い

 ただし、このシナリオが実現するためには大きなハードルがあります。それが、先ほど触れた憲法改正です。

 今年5月、安倍氏は、改憲スケジュールの事実上の前倒しを打ち出しました。現時点で安倍氏の念頭にある改憲スケジュールは、表のようなものといわれています。

表:想定される改憲の最短スケジュール

2017年臨時国会(秋) 自民党が改憲案策定。衆参の憲法審査会に提出
2018年通常国会(1-6月) 衆参両院の3分の2以上の賛成で憲法改正が発議。
2018年夏から冬(発議から60-180日) 国民投票、衆院選と同時になる可能性も
2020年まで 新憲法施行

出所:日本経済新聞、6月25日を踏まえて大和住銀投資投資顧問作成

 また、これまで改憲の対象にならないと見られていた9条についても、ここに自衛隊を明記するとの方針を打ち出しました。

 スケジュールを短縮する一方で、9条改正を追加すれば、審議の時間が不足することは必至です。安倍氏の方針転換には、「都議選の結果を受けてよくよく慎重にやるべきだ」(有村治子元女性活躍相、朝日新聞、7月6日)、「あらかじめ期限をきって憲法改正を議論することは、あまり得策ではないと思う」(船田元・憲法改正推進本部長代行、同)など、自民党内からも異議が相次いでいます。

 安倍氏の指示通りに9条に自衛隊についての記述を加えた上で、このスケジュールで進めようとすれば、強引な国会運営を余儀なくされることになりかねません。その場合、国民は反発し支持率は一段と低下。自民党でも本格的な安倍降ろしの動きが強まることになるでしょう。これが先ほど触れた「可能性のある早期退陣シナリオ」です。

 一方、今からでもスケジュールの前倒しを撤回、9条改正の見送りを表明すれば、「国民の声に耳を傾けた」として、支持率にはプラスになり、党内の国会議員の不満も収まるでしょう。こうなれば、持ち直しシナリオに近づくことになります。